2007 Fiscal Year Annual Research Report
新奇な物性を有する物質の創製、および外場による機能制御
Project/Area Number |
07J55111
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
草本 哲郎 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ラジカル / 電子状態 / 錯体 / 白金 / tempo |
Research Abstract |
私は特異な電子状態と強い分子間相互作用を発現しうる機能性錯体を創製することで、新奇な物性の発現および外場による制御を目的として研究を進めている。この実現のため、私は「特異な電子状態」を実現する構成要素として有機ラジカルの一種であるtempoラジカルに、そして「強い錯体間相互作用」を実現する要素として、分子性導体の分野において精力的に研究が進められてきた含硫黄・共役系に着目し、これらを有する新規機能性配位子tempodtを設計した。この配位子からなる金属錯体では、tempoラジカルが有する「磁性」「酸化還元応答性(とこれに連動したH+応答性)」という機能と、金属イオン-含硫黄・共役系部分の特異な電子状態が生み出す機能の相互作用、つまり錯体内相互作用のみならず、強い錯体間相互作用に起因する新奇物性の発現が期待できる。 本年度は、はじめにtempodtを合成し、その物性を調べた。その結果、tempodtが私の予想した通りの機能(磁性、酸化還元応答性)を有することが明らかとなった。次にこのtempodt配位子からなる白金錯体tempodtPtを新規に合成し、その物性を詳細に調べた。その結果、tempodtPtでは、tempodtが白金に配位することで、SOMO-HOMO level conversionという電子状態変化が起こることが示唆された。これは今まで報告例のない新奇現象であり、この現象が錯体の物性に与える影響を調べることは、本研究の発展に大きく貢献するものである。今後はこの新奇現象についてより詳細な研究を行い、これを新奇物性の開発に応用することを試みる。
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Research Products
(1 results)