2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J55181
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
野村 尚利 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | C12A7 / 放射光X線粉末回折法 / MEM / Rietveld解析 / ナノポーラス結晶 |
Research Abstract |
我々の研究グループでは、結晶中にかご状の構造(ケージ)を持ったセメント化合物12CaO・7Al_20_3(C12A7)に注目し、そのケージに様々な活性陰イオン(H^-,O^-)や電子などを閉じ込めることによって、紫外線誘起伝導性を持たせたり、典型的な絶縁体を金属や超伝導体にするなど、これまでにない新しい機能性を開拓してきた。このような興味深い性質は、やはりそのユニークな結晶構造に由来する。このような陰イオンが実際にケージ内に包接されていることを実証し、また様々な陰イオンがケージに包接可能な理由を探るために、様々な陰イオンを包接したC12A7の結晶構造をMEM/Rietveld解析と呼ばれる手法によって研究してきた。ケージに最大限に電子を包接させた、金属的挙動を示すC12A7の結晶構造解析では、そのユニークな物性の起源に迫る非常に興味深い結果を得ることができた。それに引き続き、今年度はO^<2->およびOH^-イオンを包接したC12A7の結晶構造を解析し、それらの結果を比較することで、価数の異なる陰イオンがケージ骨格に及ぼす影響やその陰イオンのケージ内分布を明らかにすることを試みた。この解析の結果、O^<2->とOH^-を包接させた場合では、その価数の違いに起因して、それぞれケージの変形の仕方や陰イオンのケージ内での安定位置が異なることが明らかとなった。この研究結果は、C12A7のO^<2->イオン伝導性やOH^-イオンの安定性を理解する上で、またその他の陰イオンの包接を考える場合にも有益な情報となると考えている。
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Research Products
(2 results)