2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J55181
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
野村 尚利 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 鉄系超伝導 / 結晶構造 / 放射光 / 鉄ヒ化物 / 物質探索 |
Research Abstract |
本研究では、自然に存在する結晶の規則構造をうまく活用した新規物性の探索および解析を主な目的としている。2008年、当研究グループで、鉄系超伝導体LaFeAsO_<1-x>F_xが発見され、銅酸化物超伝導体に続く第二の高温超伝導化合物として、高Tc化、新物質探索、メカニズム解明などのために世界的な研究がおこなわれている。しかし、最近では、Tcの上昇や新物質の発見に関して大きな進展が見られておらず、更なる進歩のためには、結晶構造や電子構造を考慮した物質探索が必要だと考えられる。発見の当初から、超伝導層であるFeAs層の結晶構造がTcと相関しているという説がいくつかあり、構造パラメータとTcの関係について整理・検証して日本物理学会誌に報告した。このFeAs層の構造に着目し、我々のグループで発見されたCaFeAsFという物質が、高Tcに適した構造であることをいくつかの学会で報告し、また、その実現を目指して合成にも取り組んだ。加えて、本年度は上記した停滞状況を打破を目指し、新しい結晶構造を持つ鉄ヒ化物の探索に取り組んだ。その結果、鉄系超伝導に必須であるFeAs層を有した新物質を合成することに成功した。ドーピングが難しく、まだ超伝導の発現には至っていないが、高Tcに適したFeAs層の構造を持っており、今後、構成元素等の改良などにより新たな高温超伝導物質として研究の発展に寄与すると期待される。
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Research Products
(5 results)