2007 Fiscal Year Annual Research Report
戦前期の小学校女性教員の<職業と家庭>の両立問題に関する歴史的研究
Project/Area Number |
07J55221
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
斎藤 慶子 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | 小学校女性教員 / 職業と家庭の両立問題 / 部分勤務制 / 産前・産後休暇 / 育児休暇 / 働き方の見直し / キャリア形成 / 母性 / 地域行財政 |
Research Abstract |
今年度は、主に中核都市(東京を除く)における戦前期の小学校女性教員の<職業と家庭>の両立問題に関する資料の所在状況の確認と資料収集および整理を中心として研究を進めた。具体的な調査地は、札幌、仙台、名古屋、大阪、神戸、福岡、熊本、長崎、山形である。各調査地では、県立および市立図書館、師範学校を前身とする教育大学付属図書館、教育会館、各地域の郷土資料室、公文書館等で調査にあたった。 調査の結果、札幌、名古屋、大阪に関しては、大正期から昭和初期(1940年前後)までの小学校女性教員会での議論経過や議論内容を把握することのできる一次資料の所在を確認し、複写・撮影等により資料を得ることができた。北海道および札幌市の資料の特徴として、戦時下における女性教員の議論を確認することのできる点が挙げられる。また、名古屋では、名古屋市小学校女教員会の昭和7年度までの議論の経過を確認できる資料に加え、大阪府連合女教員会での議論経過と議論内容を記した研究大会要録を入手した。仙台、神戸、福岡については、小学校女教員会での議論の経過と内容を記した研究大会要録等の資料は確認できなかったが、県教育会雑誌や同窓会誌等により、女性教員の勤務実態を把握できる資料や、女性教員に対する男性教員の意識調査などの興味深い資料を入手することが出来た。この他、原爆投下により多くの資料が損失された長崎県を除き、熊本県および熊本市では、女子師範学校10年史、20年史、30年史、および女子師範学校の同窓会誌を確認、山形県および山形市については、戦時体制下における女性教員の社会的役割について記された論考集を収集した。なかでも、山形県の資料は、札幌市歴史資料室に残されていた戦時下の資料と補完しながら、戦時体制下での小学校女性教員の<職業と家庭>の両立問題を検討する上で重要な資料であるといえる。
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Research Products
(1 results)