2007 Fiscal Year Annual Research Report
コナラ属の性比配分戦略が結実動態に及ぼす影響:空間明示モデルによる豊凶リスク検討
Project/Area Number |
07J55231
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
秋田 鉄也 Yokohama National University, 大学院・環境情報研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 豊凶 / 性比 / 進化ゲーム / 花粉制限 / ブナ科植物 / カオス / 個体ベースモデル / 数理モデル |
Research Abstract |
多年生植物の開花・結実は大きく年変動し、様々なスケールで同調することが知られている。この現象は豊凶(masting)と呼ばれ、その至近要因や究極要因を探るために長年研究が実施されてきた。特に、結実年変動は野生動物の個体数変動と大きな関係があることが指摘されており、群集構造の理解や生態系管理の観点から解明が強く求められている。 本研究では、ブナ科に代表される雌雄異花同株植物を念頭において、どのような結実動態が適応的であるかについて、各個体の資源貯蔵・配分メカニズムを基礎とした数理的解析を実施した。具体的には、配分される資源量そのものが大きく年変動し、さらに花粉交換を通じて空間的に同調するといった状況下における性比進化動態を、進化ゲーム理論を用いて明らかにした。個体差・齢構造・埋土種子・空間不均一性を無視し、ギャップをめぐる個体数一定の個体ベースモデルとして解析した。 数値計算による網羅的な解析を実施した結果、雌花と結実の投資量比と花粉交換の強さの値の組み合わせに応じて、i)年変動のない結実、ii)全個体が同調した周期的年変動結実、iii)個体間同調のみられないカオス的年変動結実、iv)集団が2つの性比に分岐してそれぞれがi-iiiのいずれかを示す結実動態、の4種類が選択された。コナラ属は、地域によっては性比が集団中で異なっており、この結果を支持すると考えられる。一方、東北地方のブナに見られるような全個体が同調した複雑な年変動は選択されなかった(Akita & Matsuda投稿準備中)。 今後は、空間構造を考慮した性比進化動態と豊凶現象との関係を明らかにすることで、豊凶予測を念頭に置いた生態リスク管理に貢献することを目指す。
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Research Products
(2 results)