Research Abstract |
本研究は,3次元状の周期屈折率分布をもつ3次元フォトニック結晶を用いた,光制御・発光制御を実現し,その特性および機能を明らかにするとともに,新たな応用の可能性を探索することを目的としている.今年度の研究では,当初,フォトニック結晶内部に導入した発光体における発光特性制御に関する研究を計画していたが,周期構造内部のみならず周期構造表面において興味深い光の局在現象が生じることが判明したため,3次元フォトニック結晶表面を用いた発光制御の可能性についての検討を重点的に進め,結晶表面を活かした外部からの直接的なコントロールの可能な光制御につながる知見を得た.また,3次元フォトニック結晶実現の基礎となる,結晶構造作製技術の高精度化についての検討も行った.1.これまでに検討を行ってきたストライプ積層型3次元フォトニック結晶の表面について電磁界シミュレーションを行い,表面を伝搬する光学モードが形成されることを明らかにした.2.積層型の8層3次元フォトニック結晶を実現し,全反射減衰法による表面伝搬モードの分散特性の実測を行った.解析結果とよく対応するモード分散の実証に成功すると同時に,〜350μmに及ぶ表面の光伝搬の実測に成功し,フォトニック結晶表面への光局在現象を実証した.3.表面を利用した光制御の基礎として,結晶表面構造を格子状に制御することにより,表面モードの存在しない波長帯域が得られることを解析により明らかにした.さらに実験においても波長1400〜1500nm帯への実現に成功した.4.格子状表面構造の一部分を変化させた欠陥構造を設計し,光の波長程度の微小領域に光を蓄える光共振器が実現できることを示した.また,欠陥構造の作製の結果,共振器Q値〜9,000程度が得られ,共振器としての機能を実証すると同時に,3次元フォトニック結晶を用いた光共振器における最高のQ値を達成した.5.上記のような結晶構造の作製精度の向上のため,昨年度に開発したストライプ積層構造の接合位置合わせの自動化技術を発展させ,回転アライメント補正を含めた高精度積層技術を構築し,回転精度〜0.002°の自動アライメントを達成した.
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