2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J55361
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
保井 基良 Osaka University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 希土類化合物 / メタ磁性 / 交換相互作用 / 四極子相互作用 / 中性子回折 / 磁気構造 |
Research Abstract |
局在電子系の磁性イオンは周囲のイオンがつくる電場(結晶場)の影響を受け、異方的な電荷分布を形成する.この結果,磁性イオンは電気四極子モーメントを有することになる.この電気四極子モーメントは磁気双極子モーメントと同様に相互作用(四極子相互作用)を引き起こし,電子系および格子系に影響を及ぼすことが近年の調査で明らかなってきた.この四極子相互作用が引き起こす物性についての研究は,局在電子系の物性を理解するために必要不可欠であり,非常に重要である.本研究では,希土類化合物DyCuの磁性と四極子相互作用の関係について調査を行った. DyCuは磁場に対して多段階の磁気構造転移を示す.この多段階磁気転移を交換相互作用だけでは説明することができないため.四極子相互作用が重要な役割を果たしていると考えられていた.しかしながら,交換相互作用エネルギーE_<exch>と四極子相互作用エネルギーE_<quad>ついての定量的な議論はなされていなかった.本研究では,中性子回折により磁場誘起相の磁気構造を決定し,それを基に,各相のE_<exch>とE_<quad>を定量的に見積もった.その一例として,自発相における各エネルギーを挙げると,それぞれ,E_<exch>=-26.9K/k_B,E_<quad>=-5.8K/k_Bであった.これらのエネルギーの大きさは比較的近く,交換相互作用と四極子相互作用の両方が磁性を決定する要因であることを示している.また,これらのエネルギーの値から多段階磁気転移について定量的に説明することができた.
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Research Products
(6 results)