2007 Fiscal Year Annual Research Report
現代マレーシアにおける投資活動と国民の想像に関する人類学的研究
Project/Area Number |
07J55391
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上田 達 Osaka University, 人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 人類学 / マレーシア / ナショナリズム / 想像の共同体 / ワワサン2020 / 国有ファンド |
Research Abstract |
本研究は、1990年代以降にマレーシア政府が掲げるようになった国民統合とそれを可能にするとされる経済的な発展という未来の目標が、人々によってどのように解釈されているかを明らかにすることである。具体的には、人類学的な現地調査を通じて、人々が行う国有ファンドへの投資行動に関する解釈の分析を行い、国家の掲げる国民統合と経済発展という未来を人々がどのよう忙認識しているかを微細な民族誌的記述によって示すものである。 本年度は、人類学的なナショナリズム研究や経済ナショナリズムに関する文献調査をもとに本研究の理論的な検討を行った。また、マレーシアにおける投資や金融に関する二次的な資料として、イスラミックファイナンスに関する人類学的研究の文献や資料を収集して、これの分析に努めた。平成20年2月には約二週間マレーシア(クアラルンプール、スランゴール、コタキナバル)に渡航し、予備的な調査と資料収集を行った。スランゴールでは、マレーシア国民大学図書館で資料収集を行うとともに、同大学民族学研究所のシャムスル所長と面会して意見交換を行うとともに、関連する書籍について教示を受けた。また、同大学出版局から出版されている関連書籍を入手した。クアラルンプールでは、国立図書館において、投資主体の確立を促すために刊行されていた雑誌(Pelabur誌)のバックナンバーを収集して講読した。また、マレーシア国民大学周辺において聞き取り調査を行い、投資に関する概観を得た。同時に、コタキナバルの都市集落において現地調査を実施し、住民の暮らしの経済的な側面について概況を把握した。
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