2008 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変マウスを用いたホスホリパーゼCεの炎症応答における機能解析
Project/Area Number |
07J55411
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
竹中 延之 Kobe University, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ホスホリパーゼCε / 尋常性乾癬 / トランスジェニックマウス / 慢性皮膚炎 / 炎症 / 分子生物学 / ケラチン5プロモーター / Creリコンビナーゼ |
Research Abstract |
Creリコンビナーゼ依存的にマウスPLCεを過剰発現するマウスを表皮基底細胞特異的ケラチン5(K5)プロモーター制御下でCreを発現するマウスと交配し、角化細胞特異的にPLCεを過剰発現するマウス(Tgマウス)は、表皮肥厚、分化異常、炎症性サイトカインの発現上昇等、ヒト尋常性乾癬に非常に類似した慢性皮膚炎を生後9日目から起こす。昨年に続き、Tgマウスの表現型解析を行った。 1.Tgマウスが示す慢性皮膚炎の解析:Tgマウスが示す慢性皮膚炎はヒト乾癬同様に症状の改善・悪化を繰り返す。そこで、症状悪化時に皮膚を採取し病理学的解析を行ったところ、表皮延長突起様の構造と角質層内への好中球の浸潤が顕著に認められた。また、乾癬発症に特有であるといわれている角化細胞におけるSTAT3の活性化を検討したところ、Tgマウスの病変部特異的にSTAT3の活性化が観察された。STAT3の活性化は、病変部へのT細胞浸潤との関連が示唆されおり、このTgマウスでもCD4陽性T細胞の病変部の表皮層・真皮層への浸潤が認められた。さらに抗原提示細胞である樹状細胞の分布を、免疫染色で解析したところ、樹状細胞の表皮層・真皮層への浸潤が顕著に認められた。 2.Tgマウス由来角化細胞を用いた解析:PLCεの過剰発現に伴って転写誘導される炎症性サイトカインなどのmRNAレベルを半定量的RT-PCRにて解析し、IL-1、TNF-αなどの顕著な発現上昇を認めた。 3.全身でPLCεを過剰発現するマウスの作出と解析:全身でPLCεを過剰発現するマウスを作出し、その各臓器からmRNAを抽出し、トランスジーンの発現を定量的RT-PCRにて解析したところ、全組織で有意に過剰発現していた。また、各臓器の標本を作製し、病理学的に解析したところ、皮膚においてのみ炎症細胞の浸潤を伴う炎症応答が認められた。
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Research Products
(2 results)