2007 Fiscal Year Annual Research Report
分子シャペロンを標的とした細胞系譜制御による糖尿病治療法の開発
Project/Area Number |
07J55471
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
森野 沙緒里 Kumamoto University, 大学院・薬学教育部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Hsp72 / インスリン抵抗性 / 脂肪代謝 / 2型糖尿病 |
Research Abstract |
[研究課題1]温熱と微弱電流の併用による治療的効果の検討 温熱と微弱電流の併用処置により2型糖尿病の発症過程を抑制できることが明らかになった.そこで,本処置により治療的効果も得られるか検討した.はじめに,野生型マウスに高脂肪食を5ケ月間与え続けて肥満から2型糖尿病を発症させた.そのマウスに本処置を開始した結果,空腹時血糖値の有意な低下が認められ,インスリン値も同様に低値を示していた.このマウスは肥満から2型糖尿病を発症するモデルになるが,肥満に伴い内臓脂肪が蓄積すると1)アディポネクチンの低下および2)血中TNF-αの増加が認められ,結果的にインスリン抵抗性を惹起することが知られている.そこでこれらサイトカインを測定した結果,併用処置した群では,興味深いことにアディポネクチンの増加および血中TNF-αの減少が有意に認められた.したがって,本処置法が肥満を伴う2型糖尿病を治療的に改善することが明らかになった. [研究課題3]2型糖尿病の病態改善におけるHsp72の作用機序の解明 温熱と微弱電流を併用処置することでHsp72が増加することが明らかになった.そこで併用処置によりインスリンシグナルの亢進が認められるか検討した.はじめに,インスリン抵抗性モデル細胞の作製し,温熱と微弱電流がインスリン抵抗性を改善するか,Aktのリン酸化を指標に検討した.その結果,顕著なAktのリン酸化亢進が認められた.また,Hsp72コンストラクトを遺伝子導入した結果,やはりAktのリン酸化が増加していた.さらにHsp72siRNAを用いた結果,温熱と微弱電流によるAktリン酸化亢進が抑制されることも明らかになった.したがって,温熱と微弱電流の併用によりHsp72を増加させることでインスリン抵抗性が改善できることが示唆された.
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Research Products
(7 results)