2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J55501
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
中村 大祐 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 小胞体ストレス / 翻訳抑制 |
Research Abstract |
膜タンパク質や分泌タンパク質は、小胞体膜上に結合したリポソーム上で翻訳され、小胞体内腔へと送り込まれる。小胞体内においてタンパク質は糖鎖付加、ジスルフィド結合等の修飾を受けるとともに適切な形に折り畳まれる。この過程に問題が起こり、正しく折り畳まれないタンパク質が蓄積すると、小胞体ストレスとなる。小胞体ストレスセンサーのひとつであるIRElβは、小胞体ストレス時に活性化すると翻訳抑制することで小胞体内のタンパク質が過剰になることを抑えている。今回、IRElβによる翻訳抑制は小胞体内に挿入されるタンパク質の翻訳のみを抑えるというこれまでに知られていない翻訳抑制機構を有することが明らかになった。また、その翻訳抑制機構について詳しく調べた結果、IRElβが小胞体に局在化したmRNAを直接切断することでその翻訳を抑制することを示唆する結果を得た。 また今回、IRElβの機能解析に有用な細胞株を樹立することに成功した。これまでに、IRElβの機能解析を簡便に進めるためIRElβの発現の認められる培養細胞株の検索を行ってきたが、そのような細胞株は見つかっていなかった。また、IRElβの安定発現株の取得も試みられてきたが、IRElβの長期活性化はアポトーシスを誘導するとことからIRElβの安定発現株を樹立することもできていなかった。しかし、今回プロモーターを発現力の弱いTK遺伝子のプロモーターに換えたところ、安定発現株を取得することに成功した。小胞体ストレス時に翻訳を抑制する小胞体ストレスセンサー分子には、IRElβ以外にPERKが存在することから、PERKのノックアウト細胞において、IRElβ安定発現株を取得した。この細胞では、小胞体ストレス誘導時にIRElβによる翻訳抑制のみを観察できるようになるため、IRElβによる翻訳抑制機構を詳細に調べていくための有効なツールとなる。
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Research Products
(2 results)