2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J55511
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
渡辺 拓也 Osaka City University, 大学院・文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 飯場 / 建設産業 / 寄せ場 / 下層労働 / 不安定就業 / 都市下層 |
Research Abstract |
本研究では、労働市場の末端に置かれた労働者、すなわち、「下層労働力」を、どこから調逹し、どのように管理し、どのような業務に適用するのかというメカニズムを「下層労働力編成メカニズム」と捉え、この解明を目指している。具体的な対象としているのは建設日雇労働者であり、中でも飯場に入寮して就労する飯場労働者に注目している。筆者はこれまで、大阪の寄せ場・釜ヶ崎を求人ルートとする飯場において調査を行ってきた。特に、飯場における労働実態、飯場労働者の意味世界についての解明に力を注いできた。 本年度は、初年度までに行った調査データに基づいた研究成果のまとめとその発表に務めた。まず飯場労働者の労働文化に着目した論文をまとめ、学会誌に投稿した。この論文は査読を通過し、掲載されることになった。建設労働の実態に現場レベルでアプローチし、また労働者の主体的な相互行為にまで踏み込んだ点が評価されたものである。次に、初年度に行ったインタビュー調査で得られたデータと合わせて、飯場への労働需要の実態解明を目指した研究の第一次報告を日本社会学会にて行った。建設産業の労働力需要の研究は建設労働者の「熟練」に注目して議論されてきた。しかし、「熟練」に注目したアプローチは、当然ながら未熟練/不熟練の労働を切り落とした説明であり、未熟練/不熟練労働の供給基地である飯場の労働実態を把握するには限界がある。本研究はこの部分を明かにしていくものである。これについては論文化を進めており、査読誌への投稿を準備している。
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Research Products
(3 results)