2007 Fiscal Year Annual Research Report
糖質の消化・吸収遅延による小腸の遺伝子発現と生活習慣病発症リスクとの関連
Project/Area Number |
07J55521
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
島田 昌也 University of Shizuoka, 生活健康科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 小腸 / 栄養素 / 白血球 / 糖尿病 / クロマチン / サイトカイン / 消化管ホルモン / 糖輸送担体 |
Research Abstract |
糖質の消化・吸収遅延による小腸の消化・吸収関連遺伝子ならびに消化管ホルモン遺伝子の発現変動メカニズムを解析するため,難消化性デンプンであるレジスタントスターチを通常ラットに1週間与え,空腸・回腸を採取しそれぞれ4分割した.レジスタントスターチ摂取により,小腸管腔側に存在し主要な糖輸送担体であるSGLT1の遺伝子発現ピークは空腸上部から回腸側へとシフトした.この空腸・回腸軸に沿った遺伝子発現変動のメカニズムを転写レベルで明らかにするため,クロマチン免疫沈降法(ChIPアッセイ)により,ヒストンH3およびH4のアセチル化に焦点をあてて解析を行った.その結果,レジスタントスターチ摂取によるSGLT1遺伝子上におけるヒストンH3,H4のアセチル化も空腸上部から回腸側ヘシフトとすることが明らかとなった. また,糖質の消化・吸収遅延による小腸の消化・吸収関連遺伝子ならびに消化管ホルモン遺伝子の発現変動と糖尿病改善との関連を調べるため,レジスタントスターチを2型糖尿病モデルラットに12週間与え,空腸・回腸を採取した.通常ラットと同様に2型糖尿病モデルラットでも,SGLT1遺伝子発現ピークが空腸上部から回腸側へとシフトし,GIP遺伝子発現も,空腸・回腸軸に沿って全体的に抑制された.さらに小腸吸収細胞の側面底面側に存在するもう一つの重要な糖輸送担体である GLUT2の遺伝子発現も空腸で抑制された.また,糖尿病ラットでは病態改善もみられた.それゆえ,小腸におけるGIP,SGLT1およびGLUT2遺伝子の発現減少は,血糖上昇や過剰なインスリン分泌の抑制をもたらし,病態改善につながる可能性が示唆された.
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Research Products
(4 results)