2008 Fiscal Year Annual Research Report
糖質の消化・吸収遅延による小腸の遺伝子発現と生活習慣病発症リスクとの関連
Project/Area Number |
07J55521
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
島田 昌也 University of Shizuoka, 生活健康科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 小腸 / 消化吸収遅延 / Spot14 / ヒストン / インスリン抵抗性 / 末梢血 / 白血球 / サイトカイン |
Research Abstract |
糖質の消化吸収遅延による小腸における転写補因子Spot14の遺伝子発現抑制メカニズムを解析するため、難消化性デンプン(レジスタントスターチ)を成熟ラットに1週間与え、空腸を採取した。レジスタントスターチ摂取により、空腸Spot14の遺伝子発現が著しく低下した。このSpot14の遺伝子発現低下のメカニズムを転写レベルで明らかにするため、クロマチン免疫沈降法(ChIPアッセイ)により、Spot14遺伝子上のヒストンH3、H4のアセチル化ならびにSpot14の遺伝子発現に重要な転写因子ChREBPの結合を解析した。その結果、レジスタントスターチ摂取によるSpot14遺伝子上のプロモーター領域におけるヒストンH3、H4のアセチル化ならびにChREBPの結合が低下することが明らかとなった。 また、糖質の消化吸収遅延による血糖上昇の抑制が末梢血白血球の炎症性サイトカインの遺伝子発現に及ぼす影響を調べるため、12週間の高脂肪食負荷により中程度のインスリン抵抗性を発症させたラットに、α-アミラーゼ阻害剤小麦アルブミンを含む飼料を3週間与え、末梢血白血球のRNAを採取した。小麦アルブミン添加食摂取により、インスリン抵抗性が改善しただけでなく、IL-1β、IL-6、IL-18、TNF-αならびにIFN-γの遺伝子発現量が顕著に減少した。したがって、末梢血におけるこれらのサイトカインを遺伝子発現レベルで測定することは、インスリン抵抗性をモニターするバイオマーカーとしての役割が期待できると思われる。
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Research Products
(1 results)