2009 Fiscal Year Annual Research Report
ラジカルポリマー含水ゲルの創出と蓄電デバイスへの応用
Project/Area Number |
07J55571
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小鹿 健一郎 Waseda University, 理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ラジカルポリマー / 電極活物質 / ラジカル電池 / 電解質水溶液 |
Research Abstract |
【研究目的】 水溶性電解液中で高速に酸化還元するラジカルポリマーを合成し、水中でのラジカル化合物の電気化学を確立する。含水ゲルを形成するポリマー骨格を工夫し、電荷貯蔵能を明らかにするとともに、電解液への溶出が完全に抑制された電極活物質を創出する。水溶性高分子として知られるポリアクリルアミドに長寿命有機ラジカル化合物であるTEMPOを置換したPTAmを新規化合物として合成し、可逆な酸化還元能を有するビオロゲンポリマーと組み合わせることで両極有機化合物からなる水電解質型ラジカル電池の試作を目的とした。 【研究成果】 PTAmは4-アミノピペリジンを出発物質として、アミノリシス反応によりアクリルアミドモノマーを合成、続くラジカル重合およびそのm-クロロ過安息香酸を用いた酸化により合成した。得られたポリマーの分子量は5.2×10^5であり、SQUID磁束計により求められた酸化によるラジカル発生率は96%で、PTAmの最大実効容量は114mAh/gと算出された。PTAm薄膜電極は、0.1M NaBF_4水溶液中で0.7V(vs.Ag/AgCl)に可逆な酸化還元波を示した。PTAmのサイクリックボルタモグラムは膜厚にともない電流値は増大し、膜厚3μmにおいても定量的な酸化還元容量が得られた。この結果はμmオーダーの膜厚においても、PTAmの膜深部まで電解液が浸透し、膜内のレッドックス席がすべて活性であることを示した。半電池における定電流電解を用いた充放電試験では60Cの充放電において、サイクリックボルタモグラムから求めた酸化還元電位に相当する0.7V(Ag/AgCl)に電位平坦部が現れ、集電体被覆量に相当する114mAh/gの定量的な充放電容量が得られた。 最後にPTAmを正極、ポリデシルビオロゲンを負極とした両極高分子からなる試作セルは両高分子の酸化還元電位の差に相当する1.2Vの起電力を示した。60Cの充放電試験では定量的な充放電容量が観測され、2000サイクル充放電後も初期容量の87%の容量を維持し、親水性ラジカルポリマーの酸化還元を用いた蓄電デバイスを実証した。
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Research Products
(5 results)