1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08041117
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
國島 正彦 東京大学, 大学院・工学系研究科 (00201468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 法美 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (30240500)
小澤 一雅 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (80194546)
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Keywords | 公共工事 / 入札契約制度 / 費用 / 品質 / 技術開発 / 片務性 |
Research Abstract |
本年度は日本の公共工事入札契約制度と安全管理体制の調査研究に焦点を当て、1)公共工事執行過程の構造分析、2)契約における片務性の定量化、3)建設労働災害の構造的特性を探ることを試みた。 公共工事執行過程の構造分析の結果、工事費用縮減が不十分であること、独占禁止法と設計施工分離の原則が遵守されていないことが明らかとなった。大手元請企業間の受注調整に関する問題は、コンサルタント業界の成長に伴い解決されていく可能性もあるが、少なくとも現在は、設計施工分離の原則という制度と業態が整合していないことから生じる構造的問題として捉えるべきであることが明らかとなった。 契約における片務性の定量化では、公共工事に関わる主体の契約に対する満足度を評価する指標を開発することを試みた。試算では、発注者の満足度が最も高く、以下コンサルタント、元請、下請と続く結果が得られた。 建設労働災害の構造分析では、事故の被災者に対する1対1の聞き取り調査を重点とする事故の追跡調査および建設現場における安全管理体制に関する調査を行った。また、建設現場の重層下請構造、元請と下請相互間の請負契約における安全対策を実施する場合の費用・役割・責任の取り決め状況、元請業者・下請業者の安全管理能力、安全に関する指示・情報の流れを明らかにし、現場の安全管理体制と労働災害との関連を考察した。 海外調査の結果は現在取りまとめ中であるが、欧州諸国の大規模な公共工事の入札契約では、欧州連合(EU)の規則が適用されていることが判明した。また建設の安全管理については、各国とも様々な施策が考えられており、独国では事故分析、災害保険、教育・指導などを一元的に取り扱う機関が存在すること、英国やスウェーデンでは、設計段階で施工の安全性を考慮することを求める法律が施行されていることなどが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)