1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08041118
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長澤 泰 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (30217989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 ゆかり 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (20272362)
山下 哲郎 名古屋大学, 工学部, 助教授 (00239972)
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Keywords | スリランカ / バングラデッシュ / 分娩 / 出産 / 伝統的助産婦 / 期待度 / 施設選択行動 / プライマリヘルスケア |
Research Abstract |
分娩・出産を例に取り、文化的に似通っていながらも、経済・教育・健康指標の異なるスリランカとバングラデッシュをとり上げ、保険医療施設への期待度と施設の選択行動に違いを見出した。 スリランカでは、県の保険局を対象に地域での分娩状況ヒアリングを行い、保険局、公的病院、私立病院での分娩の現場を妊婦・スタッフ双方から調査した。 バングラデッシュでは、農業を主な産業とした村における、トラディショナルバースアテンダント(伝統的助産婦)および、彼女らによって出産を終えた母親を対象に、分娩場所に対する意識調査を行った。 スリランカでの施設選択行動は予想以上に先進国よりあったのに対し、バングラデッシュは古典的な自宅での分娩を主体とする、途上国型であった。この二カ国を事例としてとり上げたことにより、経済・教育水準・健康指標が与える影響がより明確になった。スリランカでは95%の妊産婦が施設内分娩を行っているのに対し、バングラデッシュでは調査対象地域の7割が在宅分娩を行っていた。 ヒアリング調査によると、スリランカでは女性の家庭内での地位上昇、教育の普及、プライマリヘルスケアの推進が同時期に起こり、施設分娩を促進していった。 スリランカでは在宅分娩を非衛生的なものと捉えている一方、バングラデッシュではより日常的な環境での出産という、肯定的な捉え方も見られた。
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