1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08041121
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
中西 準子 横浜国立大学, 環境科学研究センター, 教授 (10010836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PINHEIRO Mar パラ連邦大学, 熱帯医学研究センター・教授, 副所長
CARDOSO Bern パラ連邦大学, 熱帯医学研究センター, 教授
GERALDO de A パラ連邦大学, 化学プロセス, 教授
高橋 敬雄 新潟大学, 工学部, 教授 (70134955)
横山 道子 東京大学, 環境安全研究センター, 助手 (90280940)
鶴田 俊 東京大学, 環境安全研究センター, 助教授 (90197773)
尾張 真則 東京大学, 環境安全研究センター, 助教授 (70160950)
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Keywords | 水銀汚染 / 健康影響 / アマゾン / リスク評価 / 水俣病 |
Research Abstract |
アマゾン川の支流タパジョス川の中流部にある3つの漁村にて、住民の頭髪の採取と、職業・健康状態・魚の摂取量などの聞き取り調査を行った結果、漁村の一つであるサンルイス・ド・タパジョス村では、住民30人から採取された頭髪の総水銀濃度の平均値が25.3ppmであることが分かった。この値はこれまでに、我々がアマゾンで得たどの集団の値よりも高い。また、現在の日本人の平均が3ppm程度であることを考えれば、金の採掘が最近低調なのにもかかわらず、水銀汚染は明らかに続いていることが分かる。有機水銀中毒の一症状である知覚障害発生確率をメチル水銀摂取量から推定するノルドベルグ式を用いると、100人中5人に知覚障害が発生する可能性があると推定される。また、多くの人が魚を毎日食べており、魚が主要な水銀の供給源になっていることが伺える。 注意すべきは、出産可能な女性の中にも水銀濃度の高い人が見られることである。15〜35歳を出産可能年齢とみなしたとき、これに該当する女性10人のうち、6人が20ng/mgを超えている。1971年のイラクでの大規模な水銀中毒事件の統計的解析によれば、胎児が母親の体内で水銀の曝露を受けた場合、新生児に現れる悪影響のうちの一つ(運動発達遅滞)の出現頻度は、母親の頭髪中水銀濃度10〜20ng/mgで自然発生頻度を上回ることが分かっている。したがって、新生児にとって問題が発生する可能性のある状況と言える。 残る2つの漁村で採取された頭髪(54人分)の分析も続行中であり、また、アマゾン河口部の大都市ベレンで採取された対照群としての頭髪(50人分)も分析の予定である。これらの結果を元に、汚染の現況について、そして汚染が住民に与えている影響について、新しい知見が得られると期待される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 小沼晋: "アマゾン再訪-水銀汚染をより深く知るために-" 水情報. 16・11. 11-13 (1996)
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[Publications] Susumu Konuma,Maria C.N.Pinheiro,Masazumi Harada and Junko Nakanishi: "Risk assessment of mercury pollution in the Amazon by analysis of human hair samples" International Conference on Human Health Effects of Mercury Exposure. (発表予定). (1997)