1996 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子分析と形態計測に基づく中国産シカ類全種の起源・進化・系統の解明
Project/Area Number |
08041131
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大泰司 紀之 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (50001532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HALIK Mahmut 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授(外国人客員研
顧 濱源 チベット自治区高原生物研究所, 動物室, 教授
李 明 華東師範大学, 生物系, 助手
王 小明 華東師範大学, 生物系, 助教授
徐 宏発 華東師範大学, 生物系, 助教授
盛 和林 華東師範大学, 生物系, 教授
梶 光一 北海道環境科学研究センター, 野生動物科, 科長
増田 隆一 北海道大学, 理学部, 助手 (80192748)
玉手 英利 石巻専修大学, 理工学部, 助教授 (90163675)
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Keywords | シカ類 / 種分化 / 亜種化 / DNA分析 / 分子系統樹 / 形態計測 / 分布様式 / 有蹄類大進化 |
Research Abstract |
本研究課題は、遺伝子分析と形態計測結果にもとづいて中国産シカ類全種の系統関係を明らかにし、シカ類の起源と進化過程を解明しようとするものである。平成8年度の実施内容と成果は以下のとおりである。 1 現地調査 シカ類の分布状況等の現地調査と遺伝子標本採取は、研究計画にしたがって実施された。まず平成8年5月に研究代表者が中国に渡航した機会に詳細な打合せをおこなった。現地調査は、同年8月8日より12月20日にかけて研究代表者および研究分担者8名が6次にわたり現地に赴いた。チベット自治区、四川省および新彊ウイグル族自治区の調査では自動車、馬等によって移動しながら、シカ類の生息状況の調査と標本の採集活動をおこなった。冬期の猟期には中国側分担者によって、狩猟個体より材料収集が行われた。研究代表者が平成8年12月に標本計測で渡航した折に、中国側研究分担者と本年度の研究成果については総括討議をおこなった。 2 研究成果 (1)標本採取と計測:6次にわたる現地調査の結果、亜種、地域個体群を含めて約50種類のシカの標本を収集することができた。収集標本には、ジァコウジカ2種、アカシカ6亜種、ニホンジカ、サンバー、キバノロ、ホエジカ、クチジロジカなど主要な種がすべて含まれている。これらの標本については、骨形態等の計測をおこなうとともに、遺伝子試料を採取して中国側研究機関に持ち帰り保存した。 (2)DNA分析と系統解析:採集した遺伝子試料から、遺伝子増幅法によりミトコンドリアDNAのチトクロームb領域を増幅して、その塩基配列を決定した。えられた配列データをもとにして、NJ法により分子系統樹を作製した。その結果、ジャコウジカ、ムンチャク類、およびアカシカ、ニホンジカを含む大型のシカ類の3系統がそれぞれ単系統群を構成することが明らかになった。各系統群の分岐パターンは、これまで化石データから推定されていたシカ類の系統進化過程とほぼ一致することが示された。 3 総括 本年度の成果は、これまで不明な点が多かったシカ類各種の分岐パターンと派生年代について、分子時計にもとづく新たな解釈をもたらすものである。今後、引き続き収集した標本の分析と、未調査地域の現地調査を継続しておこない、シカ類をふくむ有蹄の大進化の全貌を明らかにしたい。
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Research Products
(1 results)