1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08041174
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野村 大成 大阪大学, 医学部, 教授 (90089871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KRUPNOVA Eve ベラルーシ科学アカデミー, 遺伝学・細胞学研究所, 主任研究員
ELISSEEVA Kl ベラルーシ科学アカデミー, 遺伝学・細胞学研究所, 部長
本行 忠志 大阪大学, 医学部, 助手 (90271569)
中島 裕夫 大阪大学, 医学部, 助手 (20237275)
杉山 治夫 大阪大学, 医学部, 教授 (70162906)
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Keywords | 微量放射線 / チェルノブイリ核施設崩壊 / 遺伝的影響 / 生態系への影響 / 野生動植物 / 生物学的濃縮 / 白血病 / WT1遺伝子 |
Research Abstract |
チェルノブイリ核施設崩壊により大気中に放出された放射性物質の殆どは、ベラルーシ共和国内に降下し、原爆、医療被曝等高線量、高線量率被曝と異なり、低線量・低線量率長期間内部・外部被曝という人類の通常の被曝形態と類似した被曝形態をとっている。本調査研究では、チェルノブイリ核施設崩壊により放出された放射性物質の環境および生態系への遺伝的影響調査に加え、被曝者とその子孫における遺伝的影響を分子レベルで調査した。 1. 微量長期汚染の生態系への継世代的影響:チェルノブイリ核施設崩壊後、土壌、水中より放射性降下物は減少していっているのに対し、草木、食用植物(イチゴ、キノコ等)、水生動物(鯉、カエルなど)などへの強度の生物学的濃縮に加え、10年たった現在でも、野生動物への強度の濃縮を認めた。体重当たりで比較すると、バッタ、トンボ、モグラ、マウスへとより高度の放射性物質の生物学的濃縮がみられた。 2. ヒトでの遺伝子変異の調査: 放射能被曝者(放射性物質除去作業者、汚染地域住民など)およびその子供(約200名)の血液より単核球を採取し、白血病早期発見のため、WTl遺伝子発現の定量と分子レベルでの遺伝子変異の検出を行った。被曝者56名中血液症状を有した者28名中16名に異常に高いWTl遺伝子の発現がみられ、白血病高リスク群であることを示唆した。血液症状を呈しない被爆者28名中7名にも軽度のWTlの発現がみられたが、ミンスク在住正常人にも同じ傾向がみられた。しかし日本人49名や、日本在住のコーケシアン26名には全くWTlの異常値がみられず、今後の課題となった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Nakajima,H., et al.: "Radionuclides carved on the annual rings of a tree near Chernobyl." Health Physics. 74. 265-267 (1998)
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[Publications] Hongyo,T., et al.: "Frequent p53 Mutations at Dipyrimidine Sites in Patients with Pyothorax associated Lymphoma(PAL)" Cancer Res.58. 1105-1107 (1998)
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[Publications] Fukuda,K., et al.: "Morphology and function of human benign tumors and normal thyroid tissues maintained in severe combined immunodeficient mice." Cancer Letters. 132. 153-158 (1998)
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[Publications] Inoue,K., et al.: "Wilms' tumor gene (WT1) competes with differentiation-inducing signal in hematoietic progenitor cells." Blood. 91. 2969-2976 (1998)
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[Publications] Sako,M., et al.: "Abnormal expression of the Wilms' tumor gene WT1 in juvenile chronic myeloid leukemia and infantile monosomy 7 syndrome." Leukemia Research. 22. 965-967 (1998)
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[Publications] Tamaki,H., et al.: "The Wilms' tumor gene WT1 is a good marker for diagnosis of disease progression of myelodysplastic syndrom." Leukemia. (in press). (1998)
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[Publications] T.Nomura: "Trens in Radiation and Cancer Biology" Forschungzentrum Julich, Germany, 7 (1998)
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[Publications] 野村大成: "適塾" 適塾記念会, 8 (1998)