1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08041188
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
宮村 達男 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 部長 (90100099)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 善治 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 室長 (50157252)
武田 直和 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 室長 (90132894)
RADU Crainic パストゥール研究所, 腸内ウイルス分子疫学部, 部長
吉田 弘 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 研究員 (30270656)
清水 博之 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 研究員 (90270644)
PHAN Van Tu ベトナム, パストゥール研究所・腸内ウイルス研究部, 部長
米山 徹夫 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 主任研究官 (90100106)
萩原 昭夫 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 室長 (10100091)
|
Keywords | ポリオ / ポリオ根絶計画 / 野生株 / ポリオワクチン / 塩基配列 |
Research Abstract |
ポリオウイルスは代表的なエンテロウイルスであり、経口感染によりヒトからヒトへと伝播する。そしてヒトのみが唯一の感受性自然宿主である。糞口感染が日常的におこらないような衛生状態が保たれれば、ポリオの伝播は次第に絶ち切られ、ポリオという疾患は消滅するはずである。一気にポリオを根絶する為には、更に強力な免疫計画とサーベイランスが必要であり、この目的をもって世界レベルの根絶計画がWHOの強力な指導のもとにスタートした。 本研究は、ベトナムをその対象領域として、野生株ポリオウイルスが弱毒性ワクチン株に置き換えられてゆく最後の過程を検証することにある。1997年、ベトナムでは1例、隣国のカンボジアで8例の野生株が分離された。これらは現地で急性弛緩性マヒ(Acute Flaccid Paralysis:AFP)を生じた小児の糞便検体が当研究室に送付され、ウイルス分離、同定、型内鑑別が行われたものである。そしてこれらの分離株のVP-1領域の塩基配列を決定し、これまで周囲で分離されていた野生株と比較した。その結果、インドシナ半島で複数存在していた株のうち一つのみが残っていることがわかった。北ベトナムでAFP例から分離されたウイルスは、ここ2年間、すべてワクチン由来株であったが、この1年はワクチン株の分離も減少している。一方、南ベトナムの国家ラボで得られた成績と日本のラボでの成績には、一部不一致がみられた。その問題点を解決する手段として、野本らにより樹立されたポリオウイルスのレセプターを発現しているマウス細胞株(Lα細胞)を用いた、ポリオウイルス選択的なウイルス分離が提唱され、実行されつつある。 かくして、1997年3月19日のカンボジアの1例を最後として、野生株は分離されておらず、これが最後の例となるか、更なる強力な監視が必要である。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Li, j., et al.: "Genetic analysis of wild type 1 poliovirus isolates in China,1985-1993." Research in Virology. 146. 415-422 (1995)
-
[Publications] Li, J., et al.: "Genetic basis of the neurovirulence of type 1 polioviruses isolated from vaccine-associated paralytic patients." Archives of Virology. 141. 1047-1054 (1996)
-
[Publications] Yoshida, H., et al.: "Circulation of type 1 poliovirus in northern Viet Nam during 1991-1994." American Journal of Tropical Medicine and Hygiene. 55. 531-535 (1996)
-
[Publications] Yoshida, H., et al.: "Two major genotypes of type 1 wild poliovirus circulating in Indochina." Journal of Infectious Disease. 175. 1233-1237 (1997)
-
[Publications] Yap, C.C., et al.: "A hybrid baculovirus-T7 RNA polymerase system for recovery of an infectious virus from cDNA." Virology. 231. 192-200 (1997)
-
[Publications] 米山 徹夫: "PCR-RFLP法による野生株ポリオウイルスの同定" 実験医学.
-
[Publications] 15(No.7). 115-118 (1997)