1996 Fiscal Year Annual Research Report
無機多孔質触媒の細孔空間を反応場とした機能材料の合成
Project/Area Number |
08232207
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
松田 剛 北見工業大学, 工学部, 助教授 (10199804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂上 寛敏 北見工業大学, 工学部, 助手 (70271757)
高橋 信夫 北見工業大学, 工学部, 教授 (20108187)
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Keywords | ゼオライト / イソプロピルナフタレン / プロピレン / アルキル化 / 形状選択性 / 脱アルミニウム / 固体酸特性 |
Research Abstract |
本研究では、機能性高分子の原料として付加価値の高い2,6-ジアルキルナフタレンの選択的合成触媒の開発に必要な基礎的知見を得ることを目的として、モルデナイト(HM)触媒を用いて2-イソプロピルナフタレン(2-IPN)のイソプロピル化反応を行い、2,6-イソプロピルナフタレン(2,6-DIPN)選択率におよぼす触媒物性の影響について検討した。 HMをHCl水溶液を用いて脱アルミニウムすると、HCl水溶液の濃度および処理回数の増加とともに活性は低下したが、2,6-DIPN生成の選択率が増加し、5MHCl水溶液で2回処理した脱アルミニウムモルデナイト(DAHM)ではβ-β選択率95.5%、2,6-DIPN/2,7-DIPN比3.0となった。TBP処理により外表面酸点を被毒した触媒を用いて反応を行なった。5MHClで1回処理したDAHMをTBPで処理したところ、β-β選択率95.5%、2,6-DIPN/2,7-DIPN比2.9と増加した。この選択率は5MHClで2回処理したDAHMと同程度であるが、活性は5MHClで2回処理したDAHMよりも高い。このことは、脱アルミニウムとTBP処理の組み合わせが2,6-DIPN合成触媒の調製に有効であることを示している。これに対して、5MHClで2回処理したDAHMではTBP処理による活性および選択率の変化はみられなかった。このことから、5MHClで2回脱アルミニウムしたDAHMでは外表面酸点は反応にほとんど関与していないと考えられる。すなわち、DAHMの細孔内の反応では2,6-DIPN72%、2,7-DIPN24%の選択率が得られると考えられる。これに対して、HM触媒ではTBP処理で外表面酸点を被毒しても高い2,6-DIPN選択率が得られなかった。ことから、脱アルミニウムによる2,6-DIPN生成の選択性の増加は外表面酸点の寄与の減少だけでなく、脱アルミニウムによる酸特性の変化あるいは細孔径の減少の影響もあると推測した。
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