1996 Fiscal Year Annual Research Report
新しい進化学理論の実験による探索-脊椎動物の力学対応進化学の実験系の確立
Project/Area Number |
08233102
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西原 克成 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (10010323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森沢 正昭 東京大学, 理学部・臨海実験所, 教授所長 (40013594)
松田 良一 東京大学, 教養学部, 助教授 (90165837)
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Keywords | 脊椎動物 / バイオメカニクス / 進化論 / 用不用説 / Neo-darwinism / 力学対応進化学 / 分子生物学、 / リモデリングの分子遺伝学 |
Research Abstract |
Rouxの言うように、重力など力学が進化の原因とすれば、進化のエポックを代表する動物に、進化で生じたphysicochemical stimuliを異種性に異所性に人為的に与えれば、進化で生じた物質が異種性に、異所性に生ずるはずである。局所の細胞の遺伝子の発現で、間葉系の高次機能細胞が誘導され、この細胞レベルの分化誘導の積み重ねで形態が決まるからである。この手法を研究代表者の西原が開発し、実験進化学手法(Experimental Evolutionary Research Method)と呼ぶ。これにより哺乳類において希望する間葉系高次機能細胞をハイブリッドタイプで、当該動物の細胞遺伝子を使って人為的に誘導することができる。 脊椎動物の進化は、形態と機能と分子レベルでそれぞれ異なる。形態の進化は、内臓頭蓋の形態研究を行う以外には究明することが困難である。進化を遡ると、頸部・胸部・腹部・手と足との尾のすべては原索動物に至って、内臓頭蓋の原器、鰓孔のある口の嚢に収斂して、顔の原器のみとなってしまうからである。この動物がムカシホヤであり、脊椎動物の源となる本体であり、同時に顔の源とも言える生き物である。生命の営み(機能)の中心となる細胞レベルの消化・吸収・呼吸・代謝の要は造血巣であるが、この機能の進化は重力対応により腸管から脊髄腔へ移動する。このように形態と機能レベルの進化は、まぎれもなく生命体の生体力学的対応で生じており、Neo-darwinismのいうような進化の様式はどこにも観察されない。実験進化学手法を開発し次の3点につき研究した。 (1)顔の源の生物マボヤの幼形進化の人為的誘発 (2)人工骨脊髄バイオチャンバーによる軟骨魚類、円口類の筋肉内における造血巣の誘導 (3)原始脊椎動物の組織免疫と胎児蛋白の関係の究明 実験結果から、世界に先駆けてNeo-darwinismが完全否定され、脊椎動物の進化がLamarckの用不要の法則によることが検証された。 本研究で、150年間脊椎動物の生物学を支配したNeo-darwinismの進化論が系統発生学の観察事実によって完全に否定され、力学対応進化学が実験的に検証された。脊椎動物の進化様式はハードのホメオボックスの情報系とソフトの環境因子と呼ばれる情報系の二重支配であったことが検証された。
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Research Products
(18 results)
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[Publications] 西原克成、田中順三: "実験進化学手法による天然型人工歯根の開発" 第26回日本口腔インプラント学会総会抄録集. 47. (1996)
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[Publications] 西原克成: "顔面頭蓋の器官特性について." フォーラム顔学 第1回日本顔学会大会論文集:39,パネル討論:顔学への招待. (1996)
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[Publications] 西原克成、佐藤陽子、森沢正明: "生物の骨格糸物質とW.Rouxのバイオメカニクス-マボヤにおける力学対応進化学の検証-" 材料力学部門講演会講演論文集. Vol.A. 133-134 (1996)
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[Publications] 西原克成、田中順三、広田和士: "実験進化学手法による力学対応進化学の検証." 日口診誌. 9(2). 232-249 (1996)
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[Publications] 西原克成: "口と前進の発生学的関連性." 顔面バイオメカシンポジウム. 2(1). 54-57 (1996)
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[Publications] 西原克成、松田良一、森沢正昭: "新しい進化学理論の実験による探索-脊椎動物の力学対応進化学の実験系の確立-." 科研費重点領域研究研究成果報告書「人口生命システム」. 114-119 (1997)
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[Publications] 西原克成: "人工材料(無機)-この1年の進歩." 人工臓器. 25(649). 940-942 (1996)
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[Publications] 西原克成: "口呼吸習癖と人類特有の免疫病との関連について." 第11回日本歯科心身医学会学術大会抄録集. 50. (1996)
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[Publications] 西原克成: "芸術活動と顔面頭蓋の機能性疾患." 第11回日本歯科心身医学会学術大会抄録集. 51. (1996)
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[Publications] 西原克成、田中順三: "実験進化学手法による大然型人工歯根の開発." 第26回日本口腔インプラント学会総会抄録集. 47. (1996)
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[Publications] 西原克成、佐藤陽子、松田良一、森沢正昭: "顔面頭蓋の器官特性の解明に関する研究-その1-" 第41回日本口腔外科学会総会抄録集. 290. (1996)
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[Publications] 西原克成: "顔の形とWolffの法則について." 顎顔面バイオメカ. 2(1). 8-12 (1996)
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[Publications] K.Nishihara,Y.Sato,M.Morisawa: "Morphology of the Viscerocranium and Evolution of Vertebrates." J Oromax Biomech. 2(1). 16-18 (1996)
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[Publications] K.Nishihara,H.Kabasawa: "Relations between Cravity and Cell Differentiation in Vertebrates-A New Concept of lmmunology-." J Oromax Biomech. 2(1). 19-22 (1996)
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[Publications] K.Nishihara,J.Tanaka: "Successful inducement of hybrid type artificial bome marrow using bioceramics in various vertebrates." Bioceramics. 9. 69-72 (1996)
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[Publications] K.Nishihara: "Development of Hybrid-type artificial immune organ by means of experimental evolutionary research method using bioceramics." The 1st International Symposium of Tissue Engineering for Therapeutics Use,March 27-28,1997,Kyoto Japan,1997.招待講演.
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[Publications] 西原克己: "顔の科学" 日本教文社、東京, 209 (1996)
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[Publications] 西原克己: "呼吸健康術" 法研、東京, 170 (1996)