1996 Fiscal Year Annual Research Report
立体規則性およびキラル置換ポリアセチレンの創製と特性の解明
Project/Area Number |
08246230
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
増田 俊夫 京都大学, 工学研究科, 教授 (60026276)
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Keywords | 立体特異性重合 / 不斉重合 / 遷移金属触媒 / 置換ポリアセチレン / ポリ(フェニルアセチレン) / 立体規則性ポリマー / 幾何構造 / 溶解性 |
Research Abstract |
ポリ(フェニルアセチレン)(ポリ(PA))の主鎖構造は用いた重合触媒によって大きく異なることが知られている。本研究ではパラ位およびオルト位にかさ高い置換基を有するフェニルアセチレン類の重合を種々の遷移金属触媒を用いて行い、置換基および重合触媒が生成ポリマーの主鎖構造および性質に与える影響を明らかにすることを目的とした。以下に本研究の成果の要旨を述べる。 1.パラ置換フェニルアセチレンの重合およびポリマー構造の解析‐(ρ‐アダマンチルフェニル)アセチレン(ρ‐AdpA)をFe,Rh,Mo,W,Niなどを含む触媒により重合したところ、いずれの場合も約35‐50%の比較的良好な収率でメタノール不溶性ポリマーが得られた。Fe触媒により得られるポリ(PA)はシス-シソイド構造を有するためいずれの溶媒にも一部不溶であるのに対し、同じ触媒により得られたポリ(ρ‐AdPA)は種々の溶媒に完全に可溶であった。この溶解性の違いはかさ高いアダマンチル基の存在により溶媒との相互作用が容易になったためと考えられる。ポリ(ρ‐AdPA)の^1HNMR,DSC,UV‐可視スペクトルなどの測定結果によればシス含量はFe【approximately equal】Rh>Mo>W>Niの順であった (ρ‐n‐ブチルフェニル)アセチレンから生成したポリマーはρ‐AdPAの場合と同様種々の有機溶媒に完全に可溶であった。DSCによればFeおよびRh触媒によって得られたポリマーはどちらもシス含量が高く、一方、WおよびNi触媒により得られたポリマーはトランス構造が多いことが分かった。 2.オルト置換フェニルアセチレンの重合およびポリマー構造の解析‐(ο‐トリフルオロメチルフェニル)アセチレンはMo触媒により有機溶媒に可溶な濃赤色のポリマーを生成する。それに対し、Rh触媒により重合したところ有機溶媒にほとんど不溶の褐色のポリマーが生成した。CP‐MAS^<13>CNMRスペクトルが異なることから、これらのポリマーは互いに異なる立体構造を有すると考えられる。
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