1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08266217
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 一夫 東京大学, 医学部, 講師 (40153837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 和也 東京大学, 医学部, 助手 (80251221)
鈴木 紀夫 東京大学, 医学部, 教授 (10010050)
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Keywords | DNA-PK / 培養細胞 / 細胞死 / 放射線感受性 / DNA切断 / DNA切断再結合 / DNA断片化 |
Research Abstract |
DNA-PK特異的基質ペプチドを用いて、細胞抽出液中のDNA-PKの活性を測定する系を確立した。これにより、活性測定時の前処理を省略でき、測定の効率が大幅に向上した。さらに、細胞粗抽出液にDNAセルロースを加えて沈降させ、沈降物にDNA-PK特異的基質ペプチドと[γ-32P]ATPを加えてリン酸化活性を測定する方法(pull-down法)を確立した。この手法は従来法に比べ、DNA-PKが濃縮されていること、爽雑物が除かれていることが期待され、細胞抽出液中に存在する可能性のある阻害因子の影響を受けにくいなどの利点があると考えられる。 これらの手法を用いて、DNA-PK活性と放射線感受性の相関を探るために、放射線感受性の異なる培養細胞のDNA-PK活性を測定した。放射線高感受性(200kVX線に対してDo=0.4Gy)のヒト白血病由来MOLT-4細胞と放射線抵抗性のヒト直腸がん由来細胞DLD-1(Do=1.2Gy)のDNA-PK活性は同程度であった。チャイニーズハムスターV79細胞は、放射線抵抗性(Do=2.0Gy)であるが、DNA-PK活性は、MOLT-4あるいはDLD-1に比べて顕著に低かった。少なくとも非照射時のDNA-PK活性では放射線感受性が説明できないことが示唆された。今後、対象とする細胞を増やすとともに、照射後の活性の経時的変化および線量依存性を比較検討する予定である。 MOLT-4とV79細胞においてX線照射によって誘起されるDNA切断の量には差がなかった。また、いずれの細胞でも1時間以内に90%以上の切断が再結合され、DNA-PK活性とDNA再結合能との対応は認められなかった。ただし、MOLT-4においては4時間目以降切断数が再び増加した。細胞内のDNA断片化に対応するものと考えられる。 また、DNA-PKのサブユニット(分子量460kDa,85kDaおよび70kDa)に対する抗体の作製を試み、リン酸化活性を持つ460kDaサブユニットと85kDaサブユニットに対する抗体を得た。今後、これらの抗体を用いて、各サブユニットの量、存在様式等の細胞内による違いを解析し、放射線感受性との関係につき検討を加える予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Sakai,K.: "Effects of an inhibitor of protein kinases on the response to heat treatment in cultured mammalian cells." International Journal of Hyperthermia.(in press). (1997)
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[Publications] Matsumoto,Y.: "A possible mechanism for hyperthermic radiosensitization mediated through hyperthermic lability of Ku subunits in DNA-dependent protein kinase." Biochemical and Biophysical Research,Communications. (in press). (1997)
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[Publications] Morimatsu.A.: "Identification and characterization of a protein appeared after X-irradiation in human T cell leukemia." Journal of Radiation Research. 37. 1-11 (1996)