1996 Fiscal Year Annual Research Report
ループの協調的スウィングによるミトコンドリアADP/ATP透過担体の輸送機能発現
Project/Area Number |
08268237
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
寺田 弘 徳島大学, 薬学部, 教授 (00035544)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 康雄 徳島大学, 薬学部, 助教授 (60226157)
|
Keywords | 溶質輸送担体 / ADP / ATP透過担体 / ヌクレオチドアナログ / ミトコンドリア |
Research Abstract |
我々はこれまでにミトコンドリア内膜に存在するADP/ATP透過担体の活性発現機構の解析を行い、(1)本透過担体のマトリックス側に3つの大きな親水性ループが存在すること、ならびに(2)これらのループの協調的な立体配置の変化が輸送機能発現に際して主要な役割を果たしていることを明らかにした.本研究では、基質の認識、結合によって、このようなループの立体配置がどのように調節されているのかを明らかにするために、ヌクレオチド類似化合物として用いられている種々のフルオレセイン誘導体の透過担体との相互作用を解析した. エオシンマレイミドはADP/ATP透過担体の第2ループのCys159を極めて選択的に標識し、その透過活性を阻害した.この標識反応は基質や透過活性の特異的阻害剤と競合したことから、第2ループのCys159近傍が基質結合部位であると考えられた.そこでマレイミド基を持たないエオシンYの作用の解析を行ったところ、エオシンYはADPより約100倍も高い親和性で本透過担体に結合し、ADPの透過を阻害した.次いで、種々のフルオレセイン誘導体のADP/ATP透過担体に対する作用を調べた結果、これらのエオシン類の親和性は、分子内にある負の荷電と疎水的性質に依存するとの結論を得た. また、エオシン類の三次元構造と静電ポテンシャルの解析から、エオシン類はADPと共通の構造的特徴を有し、基質の認識には水素結合が関与することを見出した.以上の結果から、(1)ADP/ATP透過担体の主たる基質結合部位は第2ループであり、(2)基質の結合は主として疎水性アミノ酸残基によりなされ、(3)基質の認識は静電的相互作用や水素結合を形成する極性アミノ酸残基によることが明らかになった.
|
Research Products
(1 results)