1996 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫病発症の分子機構:自己反応性T細胞の制御機構について
Project/Area Number |
08282240
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
坂口 志文 東京都老人総合研究所, 免疫病理部門, 研究室長 (30280770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 雅昭 東京都老人総合研究所, 免疫病理部門, 研究員 (10202201)
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Keywords | 自己免疫病 / T細胞 / トランスジェニックマウス / 免疫制御 |
Research Abstract |
正常マウス末梢CD4T細胞の約10%を占めるCD25(IL-2 α鎖)発現細胞を除去すると、ヒトの自己免疫病と免疫病理学的に酷似した様々な病変(胃炎、甲状腺炎、副腎炎、糖尿病、卵巣炎等)が高率に発症し、CD25+細胞を一定期間内に補えば病変発症は阻止される。これは、末梢における自己反応性T細胞の活性化・増殖が、他のT細胞による制御を受けており、その制御機構の破綻は様々な自己免疫病の直接的原因と成りうることを意味する。CD25+T細胞による自己寛容維持の分子的機序およびCD25-T細胞自己免疫病発症機序を解明するため、本年度はサイトカインの関与について検討した。まず、単一リンパ球について約30種のmRNAをRT-PCRで同時に検出する新しい方法を確立した。この方法を用いて胃炎局所に浸潤しているT細胞を解析した結果、約40%の細胞が何らかのサイトカインを産生しており、IL-4/IL-10あるいはIL-2/IFN-gを同時に産生している所謂TH1,TH2タイプのT細胞も検出された。それぞれのタイプについてT細胞抗原レセプター(TCR)Vα/Vβ領域を解析、有意に増加している群について個々のT細胞のTCRV領域の塩基配列を決定した。その結果同一のTCRを発現するT細胞のクローン性増殖が認められた。現在これらのTCR遺伝子をT細胞ラインにトランスフェクションし、それらがどのような自己抗原ペプチドを認識するのか検討している。さらに、正常個体中のCD25陽性T細胞の自己免疫制御能を解析するため、個々のCD25+T細胞が構成的に産生しているサイトカインを検索したところ、IL-4,IL-10,TGF-βが範疇に入ることを見い出した。これらのサイトカインが自己寛容の維持に関与している可能性について現在検討している。
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[Publications] Asano,Mi et al: "Autimmune disease as a conseguence of developomental abnormality of a T-cell sudpopulation" Journal of Experimental Medicine. 184. 387-396 (1996)
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[Publications] Sakaguchi,Si et al: "T-cell-mediated maintenance of natural seef-tolerance its breakdown asa possible cause of various attloimnme disease" Journal of Autoimmunity. 9. 211-220 (1996)
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[Publications] Morse,S,Si et al: "Virus and autoimmunity : Indenition of autoimune desiease in mice by mouse T-lymphatropic virus destroging CD^4 T cells" Journal of Experimental Medicene. (In press).
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[Publications] 坂口教子 他: "自己免疫疾患発生におけるT細胞制御異常の関与" 臨床免疫. 28. 1537-1544 (1996)
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[Publications] 坂口志文 他: "T細胞制御における免疫不応答(自己寛容)の維持" Biotherapy. 10. 1250-1260 (1996)
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[Publications] 坂口志文: "発生工学を利用した自己免疫の解析" Bioclinica. 11. 18-22 (1996)