1997 Fiscal Year Annual Research Report
日本民法典諸規定のローマ法的沿革に関する実証的研究
Project/Area Number |
08302001
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西村 重雄 九州大学, 法学部, 教授 (30005821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 龍一 福岡大学, 法学部, 教授 (30156210)
滝澤 栄治 神戸大学, 法学部, 教授 (10183451)
兒玉 寛 九州大学, 法学部, 教授 (70192060)
河内 宏 九州大学, 法学部, 教授 (40037073)
小川 浩三 北海道大学, 法学部, 教授 (10142671)
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Keywords | 日本民法 / ローマ法 / ボアソナード民法 / 旧民法 / 法典編纂 / ドイツ民法 / フランス民法 / 普通法 |
Research Abstract |
1)平成8年度に引き続き、各研究分担者において、民法の財産法に関する条文について、そのローマ法的沿革を明らかにする作業を行い、3月には、研究分担者以外の専門家の参加を仰いで研究会を開催して、特に以下4つに規定については検討を深めた。そして、わが民法の「立法過程」を、ボアソナード草案から旧民法へ、旧民法から現行民法へという連続性をもった一体的な二重の修正過程としてとらえる必要性があることを改めて確認した。 (1)強迫を理由とする法律行為の取消についての規定(96条)は、第三者の扱いを詐欺取消の場合と異にする点で強迫訴権に由来するローマ法的伝統と連続している反面、害悪の内容に財産に対する害悪の告知まで含める点でローマ法的伝統を超えていること。 (2)他主占有から自主占有への転換に親権原を要求する規定(185条)は、「何人も自己自ら占有の性質を変更することを得ず」というローマ法上のレ-グラに由来しているといわれているが、このレ-グラ自体の適用範囲は限られたものではなかったという問題提起。 (3)第三者弁済を原則として有効とする規定(474条)については、ローマ法上、第三者弁済を認める法文と認めない法文があることから、当初は限定的にしか認められていなかった第三者弁済が原則有効へと変容するに至る学説史的研究が必要であるという指摘。 (4)承諾延着あるいは申し込み取消の延着にかんする条文(522条・527条)は、電気通信媒体に過誤があった場合のリスク負担にかんする旧民法財産法308条6項の例外規定であり、現行民法における同項の削除が現行法の理解を不透明にしているとの指摘。 2)研究成果の総括として平成10年度に開催する「日本民法成立100年とローマ法伝統」の国際シンポジウムについて、サ-キュラーを作成したほか、「国際シンポジウム開催経費」を文部省に申請し、内定通知を受けた(平成10年3月12日)。
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