1996 Fiscal Year Annual Research Report
フランス文学における心と体の病理-中世から現代まで
Project/Area Number |
08401017
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 城 京都大学, 文学研究科, 教授 (80127315)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 真 京都大学, 文学研究科, 助教授 (10238909)
田口 紀子 京都大学, 文学研究科, 助教授 (60201604)
廣田 昌義 京都大学, 文学研究科, 教授 (40012421)
|
Keywords | 精神医学 / 病理 / フランス文学 |
Research Abstract |
本研究の第1年目である平成8年度は、各研究分担者がまず予備的討議を通して、具体的な研究秩序を確定することから始まった。3年間にわたる研究課題であるので、分担が全体の構想に適合するように、意見を交換した。そののち、資料調査とその分析を通じて得られた結果について、研究会を開き、研究発表と討論を行った。その内容は次の通りである。 1 吉田城「ゴンク-ル兄弟の小説作品における病理の表象」(1996年9月)--エドモンとジュール・ド・ゴンク-ルは、何点かの自然主義的な小説作品を残しているが、そこに共通してみられるのは、人間の心に対する病理学的な観察である。今回は『ジェルミニ-・ラセルトゥー』と『娼婦エリザ』を取り上げ、作家が取材した生の素材をどのように変形しながら、悲劇を構成したかを検討した。前者では「意志的な沈黙」、後者では「強いられた沈黙」が、生理学的にどのような効果をもちうるのか、『日記』や書簡をも参照しつつ、検討した。 2 嶋崎陽一「中世物語文学における狂気」(1996年12月)--中世フランス文学の中で、狂気の問題は重要な意味を帯びていることを説明し、散文作品において「発狂する」「治癒する」ということが、象徴的な問題系をなしていることを、具体的なテクストに依拠して解説した。 各研究会においては、それぞれの問題をめぐって活発な議論が交わされた。3月には分担者の増田真が発表を行う予定である。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] YOSHIDA,JO: "La Question de l'heredite chez Marcel Proust.une comparaison avec le Systeme de Zola" Bulletin d'Informations proustiennes. 27. 79-89 (1996)
-
[Publications] 増田 真: "18世紀フランス思想における女性論-モンテスキューとルソーにおける「自然」の再義性" 人文科学研究(一橋大学研究年報). 33. 90-115 (1996)
-
[Publications] 増田 真: "ルソーにおける言語論と政治思想" 姫路法学. 20. 83-148 (1996)
-
[Publications] 田口 紀子: "『ボヴァリ-夫人』における語り手の問題" 京都大学文学部紀要. 35. 1-26 (1996)
-
[Publications] 吉田 城: "神経症者のいる文学-バルザックからプル-ストまで-" 名古屋大学出版会, 343+9 (1996)