1998 Fiscal Year Annual Research Report
フランス文学における心と体の病理-中世から現代まで
Project/Area Number |
08401017
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 城 京都大学, 文学研究科, 教授 (80127315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 真 京都大学, 文学研究科, 助教授 (10238909)
田口 紀子 京都大学, 文学研究科, 助教授 (60201604)
廣田 昌義 京都大学, 文学研究科, 教授 (40012421)
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Keywords | フランス文学 / 病理 / 医学史 |
Research Abstract |
平成10年度は、8-9年度に遂行した調査にもとづき、フランスにおける医学史のコンテクストに各世紀の文学資料を置き直し、相互関連性をとくに重視しつつ病理がどのようにテクストに表象されているかを検証し、討議を行なった。研究会合は次の3回行なわれ、研究発表に続いてディスカッションがなされた。 (1)田口紀子(平成10年4月)「夢のディスクールの分析」 (2)多賀茂(平成10年10月)「麻薬の歴史と文学」 (3)松村博史(平成10年12月)「バルザックと医学-『無神論者のミサ』をめぐって」 (1)においては、テォフィール・ゴーチエやフローベールの作品にあらわれた夢の描写が心身の病象とどのように関わっているのか、とくに動詞や人称という文法的統辞法的観点から分析した。(2)は麻薬が古代から近代まで社会にどう位置づけられていたか、社会分化史視点から究明したもの。(3)は、19世紀前半の医学流派とりわけビシャやイデオローグとの関わりにおいてバルザック作品の背景と病理を明らかにした。研究代表者吉田は、全体の統括のため補助資料を東大等で調査すると共に、1910-1920年フランスにおける社会、日本における文壇の病理研究を行なった(前者はディアギレフのロシア・バレエ、後者は芥川龍之介の作品)。平成11年度はまとめの年にあたるので、各分担者の研究成果の完成をめざし、原稿をめぐる討議を行なう予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 吉田 城: "盗人の誕生-『羅生門』推敲プロセスに関する一考察" 文学(岩波書店). 9-4. 102-111 (1998)
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[Publications] 吉田 城: "ある文明開化のまなざし-芥川龍之介『舞踏会』とピエール・ロティ" 仏文研究(京都大学フランス語学フランス文学研究会). 29. 119-128 (1998)
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[Publications] Jo YOSHIDA: "Sur qnelques images de l'agonie chez Marcel Proust" Equinoxe(Rinsen Books). 15. 54-65 (1998)
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[Publications] 稲垣直樹: "『没落風景』-モーリヤックの〈影響〉を検証する" 長谷川・中川編『高橋たか子の風景』(彩流社). 103-125 (1999)
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[Publications] 稲垣直樹: "フランス・ロマン主義-ポストにフランス革命のパラダイム" 三島・木下編『転換期の文字』(ミネルヴァ書房). 20-38 (1999)
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[Publications] Makoto MASUDA: "La rhetorique de la digression chez J.-J.Roussean" Equinoxe(Rinsen Books). 16(印刷中). (1999)
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[Publications] 吉川一義・吉田城 他: "Index general de la Correspondance de Marcel Proust" 京都大学出版会, 799 (1998)
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[Publications] 多賀 茂(共著): "フランス学を学ぶ人のために" 世界思想社, 350 (1998)