1996 Fiscal Year Annual Research Report
(Gap)_m(AlP)_n短周期超格子・多重量子井戸構造の電子状態と発光機構
Project/Area Number |
08454086
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
上村 洸 東京理科大学, 理学部, 教授 (60011475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諏訪 雄二 東京理科大学, 理学部, 助手 (20216500)
中山 隆史 千葉大学, 理学部, 助教授 (70189075)
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Keywords | 半導体超格子 / 多重量子井戸構造 / 理論 / 光学特性 / 励起子 / ガリウム燐 / アルミニウム燐 / アルカリハライド超格子 / 膜厚依存性 |
Research Abstract |
1.GaP/AlP短周期超格子は、可視光域における強い発光が観測されており、発光デバイスへの応用という観点から興味が持たれている。最近、これらの系の光学遷移確率を更に高めるための一つの試みとして、超格子構造を形成する一つの周期を細分化した多重量子井戸超格子が試作され、特定の層数の組合せに対して(GaP)_m(AlP)_n超格子よりも更に強い発光が観測された。そこで、様々な層数の組合せについて電子状態と光学遷移強度をLDA擬ポテンシャル法を用いて計算した。その結果、多重量子井戸超格子においてGaPとAlPのそれぞれについて最も厚い層に正孔及び電子が局在することが明らかとなった。また、電子及び正孔が存在しないスペーサー層の効果を調べるために、その構造を変化させたところ、スペーサー層が薄い層を沢山積重ねて作られている場合に、光学遷移強度が最大となることを見出した。 2.GaP/AlP短周期超格子では、バンドの折返しにより、最低伝導帯状態は有効質量の大きなX-valleyの電子が形成する。そのために、ボ-ア半径(a^*_B)の小さな重い励起子が発生し、発光に関与すると考えられる。こうした励起子が短周期超格子系においてどのように振舞うのかを解明するために、更に顕著な励起子効果の期待されるアルカリハライドKBr/RbClを選び、第一原理計算及び変分計算により、励起子エネルギーと膜厚の関係を検討した。その結果、障壁層が厚い場合、界面にa^*_B程度の励起子空乏層ができ励起子は界面から押し出されるために、重心・束縛エネルギーが共に増大する。一方障壁層がa^*_B以下に薄くなると、励起子は井戸間を伝搬するようになり、これらのエネルギーは急激に減少することが明らかになった。得られた励起子ギャップの膜厚依存性は、実験結果(東大・江尻ら)をよく説明する。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 小林由則,上村洸: "Band structures,optical transition strengths and their pressure dependence of (GaP)_n (AlP)_n short-period superlattices with n=3 to 10" Solid State Communications. 98. 957-960 (1996)
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[Publications] 小林由則,中山隆史,上村洸: "Multi-quantum-well effects on electronic structures and potical properties of GaP/AlP superlattice" Journal of the Physical Society of Japan. 65. 3599-3603 (1996)
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[Publications] 中山隆史: "Electronic and optical properties of alkali halides KBr/RbCl superlattices" Journal of the Physical Society of Japan. 65. 2188-2193 (1996)
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[Publications] 中山隆史,村山美佐緒: "Reflectance anisotropy calculations of buried heterovalent semiconductor interfaces" Proc.23rd Int.Conf.Phys.of Semiconductors. 2. 939-942 (1996)
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[Publications] 上村洸,松野俊一,諏訪雄二,潮秀樹: "Occurrence of d-wave pairing in the phonon-mediated mechanism of high temperature superconductivity in cuprates" Physical Review Letters. 77. 723-726 (1996)
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[Publications] 上村洸,松野俊一,諏訪雄二,潮秀樹: "Now theory of superconducting copper oxides-from electronic structure to the d-wave pairing mechanism" Materials Science & Engineering B. 41. 10-15 (1996)
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[Publications] 上村洸、中尾憲司: "電子物性論=物質物理・物質科学のための" 培風館, 293 (1995)
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[Publications] 上村洸編: "物質科学-物理編(改訂第1版)" 放送大学教育振興会, 320 (1996)