1996 Fiscal Year Annual Research Report
変形凍結芯電子近似を用いる相対論的配置間相互作用法の開発
Project/Area Number |
08454185
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松岡 修 九州大学, 理学部, 教授 (70017391)
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Keywords | 電子状態 / 配置間相互作用法 / 相対論効果 / 凍結芯電子近似 / コンピユタ-・プログラム |
Research Abstract |
1.相対論的配置間相互作用法の定式化 当初Meyer-Pulayらによる「非」直交分子軌道を基底とする非相対論的配置間相互作用(CI)法の相対論的拡張を目論んだが、この方法を解析するうちに(1)彼らのCI法の速い収束性は、非直交分子軌道のためではなく、局在する原子軌道関数の採用によるらしい。(2)非直交分子軌道を用いることは計算を複雑にする。などが明らかになり、結局、「直交化された局在分子軌道」を基底に用いる相対論的CI法に相対論的変形凍結芯電子近似(RFCA)を採り入れることで定式化を完了した。 2.相対論的変形凍結芯電子近似の検討 ワークステーションの導入が大巾に遅れたので、実際のテスト計算も遅れてしまったが、いくつかの成果を得た。 (1)分子軌道は、大成分と小成分を一緒にして扱い、4成分をひとつに扱う方がvariational collapseを防ぐことができて、またSCF計算が簡単化されることが判った。 (2)非相対論的計算では、コア・ハミルトニアン行列の計算にスペクトル表現を採用することが行われているが、相対論的計算では、有効でないことが判った。特に全エネルギー値が全電子計算と大きく異なる。 結果の一部は分子構造総合討論会(1996年)において報告した。 3.GαFおよびThO分子の相対論的全電子SCF計算 それ自身に対する興味と相対論的RFCAへの参照とするため、全電子計算を数年前より開始し、いくつかの困難を克服し、GαFについては結果を発表することができた(J.Chem.Phys.印刷中)。またThOについても、分光学定数などの計算結果を発表する準備をしている。この計算により得られた結果は、擬ポテンシャル法による結果とよい一致を示しており、信頼性はより高い。
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Research Products
(1 results)