1996 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内ネットワークで働く多重機能蛋白質の分子遺伝学的研究
Project/Area Number |
08454241
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大矢 禎一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (20183767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門田 裕志 東京大学, 大学院・理学系研究科, 日本学術振興会特別研
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Keywords | カルモデュリン / Rholp / 酵母 / 細胞周期 / 細胞壁合成 / 形態形成 |
Research Abstract |
複雑な生命現象の解明には、生体内で鍵を握るタンパク質の「多機能性」に対する理解を飛躍的に高めることが必要であると提案し、出芽酵母を使った遺伝学的研究を全面的に展開させて、低分子量GTPase RholpとCa^<2+>受容タンパク質カルモデュリンの2つの系で、多機能タンパク質の機能の1つ1つを分離分別して解き明かすことに成功した。ヒトrhoAの構造的かつ機能的ホモログである出芽酵母のRholpが、細胞壁の主要な構成成分である1,3-β-グルカンを合成する酵素の活性化とPkclpと呼ばれるタンパク質リン酸化酵素の活性化を制御していることを発見した。その中でもグルカン合成酵素は、真菌などで特異的に存在するRholpのターゲットとして注目を集め、その活性化の機構はRholpによる酵母細胞の形態形成を明らかにする上で重要な意味を持っている。本研究では、活性を持つグルカン合成酵素複合体の生成ならびに細胞内局在化の機構を細胞生物学的に解析した。分泌異常の変異株を使って調べところ、推定上の触媒サブユニットFkslpは細胞内に蓄積し、Rholpは細胞膜全体に広がっており、野生型細胞で両者が芽の先端部分に局在しているのとは異なっていた。ERが蓄積する分泌変異株、またはゴルジ体が蓄積する分泌変異株では、グルカン合成酵素活性は著しく低下していたことから、このとき活性を持つ酵素複合体が形成していないことが判った。一方、ゴルジ体から細胞膜への輸送が止まり分泌小泡が蓄積する変異株では、グルカン合成酵素活性は低下しておらず、分泌小泡が蓄積する画分にはRholpとFkslpが検出された。以上の結果は、Fkslpは分泌経路を通って芽の先に運ばれ、分泌小泡上でRholpと会合する可能性を示唆している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Qadota,H.et al.: "Identification of yeast RHO1 GTPase as a regulatory subunit of the 1,3-β-glucan synthase." Science. 272. 279-281 (1996)
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[Publications] Kamada,Y.et al.: "Activation of yeast protein kinase C by Rhol GTPase." J.Biol.Chem. 271. 9193-9196 (1996)
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[Publications] Kohno,H.et al.: "Bnilp implicated in cytoskeletal control is a putative target of Rholp small CTP-binding protein in Saccharomyces cerevisiae." EMBOJ. 15. 6060-6068 (1996)
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[Publications] Inoue,S.B.et al.: "Signaling toward yeast l,3-β-glucan synthesis." Cell Structure and Function. 21. 395-402 (1996)
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[Publications] Hirano,H.et al.: "ROM7/BEM4 encodes a novel protein interacting protein interacting with the Rholp small GTP-binding protein in Saccharomyces cerevisiae." Mol. Cell Biol.16. 4396-4403 (1996)
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[Publications] Ohya,Y.: "(1996) LA-PCR-based quick method for the identification of genes responsible for the complementation of Saccharomyces cerevisiae mutations." BioTechniques. 20. 778-779 (1996)