1996 Fiscal Year Annual Research Report
飽和した超過圧密粘土/密な砂の水〜土連成場での進行性破壊の機構の解明とその応用
Project/Area Number |
08455221
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
浅岡 顕 名古屋大学, 工学部, 教授 (50093175)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
フェルナンド G.S.K 名古屋大学, 工学部, 助手 (80283422)
野田 利弘 名古屋大学, 工学部, 助教授 (80262872)
中野 正樹 名古屋大学, 工学部, 助教授 (00252263)
|
Keywords | 過圧密粘土 / 水〜土連成場 / 進行性破壊 / 有限変形理論 / 室内試験 / 有限要素法 / 塑性不安定 / 吸水軟化 |
Research Abstract |
過圧密粘土や密な砂のせん断変形では、ごく初期の圧縮を除いて、限界状態線の上側で塑性体積膨張を伴いながらも硬化がまず大きく進展するのが最大の特徴で、土要素の塑性不安定(軟化)はその後になって表れる。この遅れ(ラグ)が結果的に大きな荷重を「呼込む」ことになり同時に土塊全体を極めて緩く、また不安定にしてしまう。破壊が進行的になるのもこのためで、水の移動がそれを加減速する。滑っては止り、止ってはまた滑べる地滑りや、泥岩のスレ-キングによる斜面崩壊などは、飽和過圧密土の典型的災害として知られる。これらを境界値問題の中で再現しその機構を解明するのが、本研究の最大の目的であった。本年度の成果は次の通りである。 (1)過圧密比18の超過圧密粘土を用いて、非排水・非水の室内3軸試験を行った。この結果、供試体の「強度」に与える軸ひずみ速度の効果として、主に次の2点を見いだした。(1)非排水試験では、速い載荷の方が「強度」が大きく、「強度」と破壊時形状とが関係ある。(2)非水試験では、供試体の「強度」は破壊形状よりも吸水量の影響が大きい。 (2)同じく過圧密比18の超過圧密粘土供試体に上下端排水条件下で、軸差応力一定のまま放置する試験を行い、主に次の2点を見いだした。(1)吸水を続けながらも30分以上軸変位が進行せず、その後一気に破壊に至るものとそうでないものがあった。一定に放置する際の軸差応力が大きいほど吸水量が少なく、短時間で破壊に至る。 (3)下負荷面カムクレイモデルを用いて、強い負荷履歴を受けた過圧密土地盤の掘削安定問題を水〜土連成有限変形場でシミュレートした。よく締まった地盤は掘削しても破壊しないが、比較的ゆるく締まった地盤は、掘削後掘削壁面の変位速度を増減させながら、十分時間をかけて進行的に破壊に至ることが明らかになった。 次年度も継続して、超過圧密粘土と密な砂の進行性破壊機構を解明して行く。
|
-
[Publications] 浅岡顕、中野正樹、河村健輔: "超過圧密粘土の破壊形状と「強度」に関する軸ひずみ速度効果" 第32回地盤工学研究発表会(地盤工学会). (1997)
-
[Publications] 中野正樹、浅岡顕、河村健輔: "排水条件下での超過圧密粘土の荷重一定放置吸水軟化挙動" 第32回地盤工学研究発表会(地盤工学会). (1997)
-
[Publications] 浅岡顕、野田利弘、中野正樹、高稲敏浩、山本泰博: "過圧密地盤での素掘り掘削壁面の進行性破壊" 第32回地盤工学研究発表会(地盤工学会). (1997)