1996 Fiscal Year Annual Research Report
室内音響評価に対する「音響インテンシティー応答」に関する研究
Project/Area Number |
08455269
|
Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
古江 嘉弘 福山大学, 工学部, 教授 (90026162)
|
Keywords | 音響インテンシティー応答 / 室内音響評価指標 / 数値計算(音場の) / 音響インテンシティーベクトル / 方向定位 / 音響インテンシティー計測 / 「音に包まれた感じ」(Envelopement) |
Research Abstract |
音響インテンシティー応答と聴感との対応を考察し、室内音響評価指標を提示することが本研究の最終目標であるが、まず比較的単純な、すなわち解析的に音響インテンシティー応答が算定可能な2種類の音場モデル想定し、それぞれの音場での方向定位に関する主観実験、および音響インテンシティー計測、さらに数値計算を実行し、それらの比較・考察から、以下のような成果を得た。 1)実測によって得られた音響インテンシティー分布が安定している場合は、その実測結果の音響インテンシティーベクトルの向きから、聴感上の方向定位を高い確率で予測することができる。逆に分布が乱れている部分では、実測結果を方向定位の予測に用いることはできない。 2)計算によって得られた音響インテンシティー分布が安定している場合は、実測して得られる音響インテンシティー分布も安定して似通ったものになっており、従って方向定位もほぼ予測できる。 3)音響インテンシティーベクトルの向きが急激に変化している点については、その点での方向定位を予測する際には、その周囲の分布、少なくとも被験者の両耳の位置に相当する2点での計算値も併せて考察する必要がある。 4)対象受音点の周囲の音響インテンシティー分布が乱れているようなところでは、計算による音響インテンシティーの向きや方向定位との対応はなく、その部分の計算上の分布は実際の音響エネルギーの流れを示していない。 5)音響インテンシティー分布に乱れが生じるような受音点では、被験者は方向定位ができず、広範囲から音波が到来する感覚をもつ。 6)このことは逆に、あえて音響インテンシティーベクトルの乱れが生じるような音響設計をすることにより、「音に包まれた感じ」を知覚できるような空間を構築することができることを示唆している。 現在、若干の主観実験を追加した上で、以上の研究成果の公表を準備している。
|