1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08455406
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
高田 雅介 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (20107551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 祐二 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (60293255)
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Keywords | BaTiO_3 / TiO_2 / 多結晶体 / 単結晶 / 2次再結晶 / 液相 / 結晶成長 / HIP処理 |
Research Abstract |
これまで我々は、TiO_2を添加したBaTiO_3多結晶体中で2次再結晶の起こらない条件を見出し、この条件下でBaTiO_3単結晶育成が可能であることを確認した。また、この際の単結晶成長速度は、TiO_2の添加量および熱処理温度により変化することから、育成時に生成される液相により大きく影響を受けることが推測された。以上を踏まえて、この報告では育成した単結晶の光学顕微鏡を用いた観察結果について、また、熱処理時の液相量の調査結果について述べる。 単結晶の観察結果では、室温で縦横に走る縞模様が確認された。また、観察温度を120℃付近まで上昇させると一部の縞模様が消失し、この時点で消失しない縞模様はさらに温度を上昇させても変化しなかった。BaTiO_3の正方晶から立方晶への相転移温度は120℃付近であるため、この消失する縞模様はドメインであると考えられ、また消失しないものは単結晶が双晶帯を形成しているためと考えられる。この双晶帯はBaTiO_3多結晶体粒子でもよく観察されるが、その原因は他の粒子からのストレスとされている。これを考慮すると、単結晶が双晶帯を形成するのは、単結晶が多結晶体中で育成されることにより周囲の多結晶体からストレスを受けるためと考えられる。 一方、液相量の調査では、熱処理時に多結晶体中で生成される液相を直接観察することは困難であるため、我々は熱処理温度上昇時の試料の電気伝導率変化に注目し、TiO_2の添加量の異なる試料について比較を行った。液相生成が起こる共融温度付近で比較した場合、TiO_2を添加した試料では電気伝導率の急激な上昇が確認されたのに対し、TiO_2を添加していない試料では確認されなかった。また、この電気伝導率の変化量はTiO_2の添加量に比例して増加しており、これは液相の生成量の違いによるとものと考えられる。このことから、TiO_2添加量と生成される液相量が対応しており、これにより単結晶の成長速度が液相の生成量により影響を受けるという推測が裏付けられた。
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