1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08456080
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
伊藤 勝久 島根大学, 生物資源科学部, 助教授 (80159863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鹿取 悦子 島根大学, 生物資源科学部, 助手 (30273923)
藤居 良夫 島根大学, 生物資源科学部, 助教授 (60181327)
井口 隆史 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (70032604)
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Keywords | 直接的所得補償政策 / 中山間地域政策 / 地域資源利用 / 農林業 / 経済的効果 / 環境保全 / 景観保全 |
Research Abstract |
直接的所得補償政策が、我が国の中山間地域農林業にどの程度有効であるかについて予備的な調査を行った。東北地方(山形県西川町)と中部地方(岐阜県高山市)の農業集落の個別農家の聞き取りをもとみると、崩壊寸前の集落と活性化している集落とでは、地域資源の生産的活用の程度により、経済面、環境面、景観面のいずれの側面でも大きな差があることが判明した。 農林業生産、地域の経済・社会状況から、農林業の現況と変遷および農林業生産の環境・景観に対する影響評価モデルを、実態調査に基づいて検討中であるが、次の点が重要である。(1)地域資源の利用程度を示すものとしての作付率(作付面積/耕地面積)をみると、ほぼ四段階にわたって減少している。その顕在的なものとしては耕作放棄地の増加である。(2)農山村に定住できる条件は、農業や林業の効率化・規模拡大(企業的大経営)よりも、混合所得構成による世帯単位の安定性である。即ち、条件不利地域では兼業農業を前提(必要条件)としながら、しかも多世代同居世帯が安定(混合所得による家族経営)するような施策が採られるべきである。この世帯単位の安定から集落としての安定が生み出され、集落が生活と生産と同時に地域資源の保全を担うことができる。 一般には、中山間地域の農林業生産を維持することで、経済的効果、環境保全的効果、景観保全的効果およびレクリエーション価値の上昇などの効果があるといわれているが、これは町村ではなく、集落(自然村)レベルで考慮すべき問題である。従って、集落それぞれがもつ内部条件や外部条件、さらには下流の都市住民との関連をも考慮した、政策のための基準を検討中である。
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