1996 Fiscal Year Annual Research Report
消化管運動調節機構の生理形態学検討-先天性ならびに単クローン抗体処理による筋原性腸管運動をてがかりとして-
Project/Area Number |
08457165
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
藤野 雅之 山梨医科大学, 医学部, 教授 (60090487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 靖久 山梨医科大学, 医学部, 助手 (60126703)
佐藤 公 山梨医科大学, 医学部, 助手 (30252026)
小嶋 裕一郎 山梨医科大学, 医学部, 助手 (80205393)
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Keywords | 腸管ペースメーカー / 慢性特発性偽性腸閉塞 / W / W^Vマウス |
Research Abstract |
1.形態学的検討:免疫組織化学と超微形態学的観察を組み合わせて検討し、以下の結果を得た。(1)筋原性の腸管運動調節機構は、腸管の内輪外縦筋層間層に存在する。(2)同機構の主体をなす、腸間ペースメーカー細胞の分化を阻害する抗体をマウスに投与すると、ペースメーカー細胞が消失し、同時に腸管壁の発達が抑制される。(3)一方、先天的にペースメーカー細胞の障害を持つマウスでは、代償的に外縦筋層が肥厚する。(4)ある種のヒトの慢性特発性偽性腸閉塞において、外縦筋層間の肥厚とペースメーカー細胞の消失とが観察される。 2.生理学的検討:腸管切片を用いた解析により、以下の結果を得た。(1)正常切片では腸管の規則的な収縮弛緩運動が認められるが、ペースメーカー障害を持つ腸管では阻害されている。(2)ペースメーカー障害を持つ腸管においても平滑筋収縮自体は障害されない。(3)ペースメーカー障害を持つ腸管はカルバコール等に対して鋭敏となる傾向が見られた。(4)外縦筋層の代償的肥厚を伴うペースメーカ障害を持つマウスの腸管切片では、収縮弛緩運動が観察されるが不規則である。 3.培養細胞の確立:腸管ペースメーカー細胞の単離と初代培養法を確立するために予備的実験を行った。(1)マウス腸管では外縦筋層が薄いため、漿膜側から細胞単離操作を確立するために予備的検討を行った。(1)マウス腸管では外縦筋層が薄いため、漿膜膜側から細胞単離操作を行い、良好な回収結果を得た。(2)単離直後の細胞では、ビメンチン細胞骨格を免疫組織化学的に同定することにより、効率的にペースメーカー細胞を認識できた。 以上より、筋原性の腸管運動調節機構の生体内での基本機能が確認された。さらに、同機構の障害はヒトの疾患とも関係が深いことが示唆された。
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