1996 Fiscal Year Annual Research Report
ラミニン結合蛋白の発現抑制による血管新生制御と肺癌治療の基礎的研究
Project/Area Number |
08457178
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 研 東北大学, 加齢医学研究所, 助教授 (00215782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 靖史 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (50178779)
西条 康夫 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (10270828)
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Keywords | ラミニン / ラミニンレセプター / 肺癌 / 腫瘍血管 / 血管新生 / マウス / アンチエンスRNA / レトロウイルスベクター |
Research Abstract |
ラミニンは基低膜を形成する主要な糖蛋白であり、ラミニンとラミニンレセプターの相互作用は癌細胞の成育、浸潤、転移の各過程で重要な要因となっている。ラミニン結合蛋白(37LBP/p40)は、非インテグリン系の67kDaラミニンレセプターの前駆体蛋白として知られており、各種癌細胞での著名な発現が認められている。そこで肺癌細胞に37LPB/p40のアンチセンスRNAを導入することにより37LBP/p40発現を阻害した細胞株を樹立し、その形質を比較検討した。 マウス肺癌細胞p29に、マウスcDNAを逆方向に組み込んだレトロウイルスベクターN2PBLを遺伝子導入し、37LPB/p40低発現株T11を得た。T11は親株P29やレトロウイルスベクターのみのトランスフェクタントTN2に比較し、細胞分裂速度が有意に低下していた。また、形態も線維芽細胞株に変化しており、細胞株の抗37LBP/p40抗体による染色性も低下していた。さらに、同系マウス(C57bl/6)を用いた皮下移植実験(5×10^5細胞/マウス)では腫瘍形成能の低下を認め、移植マウス生存曲線をカプラン-マイヤー法で比較したところ、T11移植マウスで有意な生存延長を認めた。移植腫瘍の組織学的検討ではT11腫瘍での腫瘍内血管密度の低下を認めたので、各細胞の細胞培養上清を用いて血管新生に及ぼす影響を検討したところ、T11の培養上清はP29やTN2のそれらに比較し、ウシ毛細血管内皮細胞の増殖と遊走を有意に抑制した。 以上の結果より、マウス肺癌細胞では37LBP/p40の発現低下が腫瘍血管新生の抑制を通して腫瘍形成能の低下をもたらすことが示唆された。
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Research Products
(1 results)