1996 Fiscal Year Annual Research Report
下垂体前葉・濾胞星状細胞の機能、特にその分泌タンパク質の解析
Project/Area Number |
08457257
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
井上 金治 埼玉大学, 工学部, 教授 (50091963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂井 貴文 埼玉大学, 理学部, 助教授 (40235114)
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Keywords | 下垂体前葉 / 濾胞星状細胞 / コロイド / 糖タンパク質 / アルブミン / クラステリン / サイトカイン / M-CSF |
Research Abstract |
本研究は下垂体前葉の濾胞星状細胞が産生する分泌タンパク質を解析し、その機能を明らかにすることを目的としている。ここでは先ず老化動物に於ける濾胞星状細胞が産生するコロイドの分離精製が試みられた。この分離精製に先立ち、コロイドの化学的な性質を組織化学的な方法によって研究された。この結果、コロイドはシアル酸を多く含む糖タンパク質であることが予想された。この結果からコロイドの精製とタンパク質の同定が試みられた。コロイドは機械的に比較安定でホモジナイズその他の処置でも壊れることなく分離された。また、分画遠心法とパーコールによって完全に精製された。この精製された分画をエンドグリカナーゼ処理を行い、SDSによって溶解後電気泳動によって分離した結果4種類のタンパク質の存在が確認された。これらのタンパク質はN端からのアミノ酸配列を調べたところ、アルブミンとクラステリンであることが明らかになった。また、アルブミンに関しては糖タンパク性のアルブミンであることも明らかになった。これらの成果は下垂体のコロイドタンパク質を明らかにした最初のデータであり、今後下垂体に於けるクラステリンの存在意義などを研究することによって濾胞星状細胞の機能を明らかにすることが出来よう。 この結果とは別に下垂体におけるサイトカインの存在をPCR法によって調べたところM-CSFが大量に存在すること。また、このM-CSFが濾胞星状細胞に発現していることなどが明らかになり、下垂体と免疫との関わりを考える上で重要な情報が得られた。
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[Publications] 井上金治: "Histochemical study of follicles in the senescent porcine pituitary g ; amd" Arch.Cytol Histol.59,5. 467-478 (1996)
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[Publications] 井上金治: "Pituitary folliculo-stellate-like cell line (TtT/GF) produces a cytokine-induced neutrophil chemoatractant" Neuropeptide. 31,1. 46-51 (1997)
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[Publications] 井上金治: "Proteolitic processing of proopiomeranocortin occures acidifiing secretory granules of AtT-20 cells" J.Histochem.Cytochem.(in press). (1997)
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[Publications] 井上金治: "The mechanism of induction of hormone expression by glucocorticoid in the fetal pituitary gland in vitro" Endocrinology. (in press).
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[Publications] 井上金治: "The glucoproteins that occur in the colloids of senescent porcine pituitary glands are clusterin and glycosylated alubumin" BBRC. (in press).
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[Publications] 井上金治: "下垂体前葉" 電子顕微鏡. 31. 87-93 (1996)
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[Publications] 井上金治: "下垂体" 生体の化学. 47、5. 452-455 (1996)