1998 Fiscal Year Annual Research Report
胸部大動脈瘤に対する血行力学的評価法の開発-動脈瘤破断診断支援システムの開発-
Project/Area Number |
08457340
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田林 晄一 東北大学, 医学部, 教授 (90142942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 健郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30209639)
佐藤 正明 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30111371)
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Keywords | 大動脈瘤 / MRI診断 / ひずみ解析 / 破裂 / tagging法 / 壁応力 |
Research Abstract |
本研究は、大動脈瘤患者の破裂を予測し客観的評価を行うため、患者の大動脈瘤形状を非侵襲的に計測して、解剖学的形状と壁運動から瘤壁の力学的解析を施して破断予想システムを構築することを目的とした。大動脈壁をシネMRI画像において心電図同期SPAMMtagging法を用いて解析し、拡張期から収縮期にかけてのより正確な動脈壁の動きを計測し、各所におけるひずみ、曲げ率、及び局所応力をもとめた。その結果健常者の大動脈の解析より、大動脈遠位弓部小彎側前壁、横隔膜レベル下行大動脈前壁でひずみが大きいことが判明し、また局所応力も同部位で好値を示していた。これは同部が臨床的に多く経験する大動脈瘤破裂好発部位であり、これらのデータと何らかの関連があることが推察された。次いで、真性大動脈瘤患者において大動脈瘤の形状、大きさに伴う立ち上がり角度と計測されたひずみとの間に正の相関が認められた。これは、瘤の拡大の機序が大動脈瘤辺縁での力学的ストレスの増大によるものと推察され、この機序は嚢状動脈瘤が紡錘状動脈瘤に比べて大きいと予想された。また、血栓を伴う大動脈瘤の場合には血栓付着部(瘤の最大径部)のひずみは小さくなっていることが確認されたが、一方で、壁応力は増大しており、大動脈壁の可塑性が低下していることが推察された。これが大動脈瘤を破断させる一要因となることが考えられた。
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