1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08457397
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
尾郷 賢 杏林大学, 医学部, 教授 (30095533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯浅 有 杏林大学, 医学部, 助手
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Keywords | 爪床 / 爪床損傷 / 爪床再生 / 爪甲再生 |
Research Abstract |
サルは体重3-4kgのニホンザルとしたが、麻酔法の試行錯誤に手間どり、ケタラール10-40mg/kgの筋注が最善という結論に至までに2カ月を費やした。 正常な爪甲を肉眼的に観察し、また周囲と一塊に取り出したものをH-E染色標本で顕微鏡的に観察し、以下のことが分かった。 1,サルの爪甲はヒトのそれよりも丸みを帯び、陥入爪に近い形態をとっている。特に小指側にその傾向が強い。 2,サルの爪甲は著しい黒色調を示す。 3,抜爪して観察すると、爪床にはそれほど着色を認めず、逆に爪母に強い色素沈着が見られた。その境界は明瞭である。 4,顕微鏡下には、爪母上皮の基底層に色素細胞が豊富に見られるのに対し、爪床上皮の基底層には色素細胞がまばらにしか見られなかった。爪母上皮と爪床上皮の境界は不明瞭であった。 5,爪母真皮と爪床真皮の間には、顕微鏡的に区別できる差異はなかった。 次に、爪床全層の部分切除と全切除を行い、欠損部をハイドロコロイドゲル(デュアクティヴCGF)で被覆し、4週後と8週後に肉眼的および顕微鏡的観察を行い、以下のことが分かった。 6,肉眼的には、4週後には爪甲再生は認められないが、8週後には変形した、正常の約80%の大きさの爪甲が再生した。 7,顕微鏡的には,4週後にすでに爪床上皮の再生が完了し、爪床真皮も薄いながら再生していた。 今後、爪床の全層切除後の再生を、1週ごと、あるいは必要に応じてより頻繁に観察し、さらに、爪床の分層切除後の経過を追求したい。さらに被覆材として、自家全層植皮術を用いた場合との比較を計画している。
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