1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08457397
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
尾郷 賢 杏林大学, 医学部, 教授 (30095533)
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Keywords | 爪床欠損 / 爪床再生 / 日本サル / 人工真皮 |
Research Abstract |
実験1.日本サルの指24本の爪床遠位2/3を骨膜下に切除した。指8本の爪床欠損部は全層植皮で、他の8本を分層植皮で、残り8本を人工真皮テルダーミスで修復した。術後4週間まで、毎週各グループ2本ずつ指末節を切除し、病理標本を作成した。 すべてのグループにおいて爪床が再生・前進し植皮片または人工真皮を遠位に押し出した。押し出す過程は、前進する爪床の真皮最深部が植皮片または人工真皮の下に入り込み、それらを指骨から剥離するように進んだ。指骨からの剥離が叶わなくとも、皮片などの遠位移動は継続した。押し出された皮片などは指尖の動かない皮膚に突き当たって背側に突出し脱落する様子が観察された。4週間で指尖部までの爪床前進がほぼ完了した。速度の差は、強いて言えば全層植皮で一番速かったが、有意の差とは言えなかった。分層植皮と人工真皮の例では、爪甲の不整がやや多かった。 実験2.日本サルの指16本の爪床を骨膜下に全切除した。爪母と爪床の接続面は確実に切除した。指8本の爪床欠損部は全層植皮植皮で、残り8本を人工真皮テルダーミスで修復した。実験1と同様スケジュールで病理標本を作成した。 両方のグループにおいて爪床が再生・前進し、植皮片または人工真皮を遠位に押し出した。その速度は遅く、4週間では爪床再生が完了しなかった。 まとめ:爪床欠損創を植皮または人工真皮で修復すると爪床の再生・前進がおこる。自家植皮片と人工真皮の間で大きな差はない。爪床全切除例でも爪床の再生が見られたことから、爪床再生の機序が爪母に存在することが示唆された。
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