1996 Fiscal Year Annual Research Report
細胞のがん化に伴う特徴的な糖代謝経路の形成とその分子機構
Project/Area Number |
08457609
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
寺田 弘 徳島大学, 薬学部, 教授 (00035544)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山ざき 尚志 徳島大学, 薬学部, 助手 (20271083)
篠原 康雄 徳島大学, 薬学部, 助教授 (60226157)
|
Keywords | ヘキソキナーゼ / がん細胞 / 抗がん剤 / エネルギー代謝 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
これまでの研究で我々は、悪性度の高いがん細胞では、正常細胞ではほとんど発現していないII型と呼ばれるヘキソキナーゼアイソザイムが多量に発現し、I型のグルコース輸送担体とともに、特徴的な糖代謝系を構築していることを見だした.本研究では、従来の研究をより一層発展させ、細胞のがん化に伴って、この特徴的な糖代謝系がどのように構築されるのかを、分子レベルで解明することを目的とした.得られた知見は以下の通り. 1.がん細胞において、どのような分子機構で、II型ヘキソキナーゼの転写レベルが劇的に亢進するようになるかを明らかにするために、種々の条件下でのII型ヘキソキナーゼの転写レベルの解析を行った.その結果、酸素濃度が低いと思われる腹水として培養した場合、シャーレ中で培養した場合に比べ、II型ヘキソキナーゼの転写レベルが10倍以上に亢進することを見だした.現在、低酸素誘導因子(HIF)の機能との関連について解析中(未発表). 2.1の結果を分子レベルで説明するためには、II型ヘキソキナーゼの全遺伝子構造の解明が必要であるので、現在においても単離、同定されていないイントロンを検索.現在までに、第1イントロンの単離に成功(未発表). 3.悪性度の高いがん細胞で観察される、II型ヘキソキナーゼのミトコンドリアへの結合の生理的意味を解明するために、がん細胞株からミトコンドリアを調製し、種々の条件下でのヘキソキナーゼ活性を検討し、ミトコンドリアに結合したII型ヘキソキナーゼは、ミトコンドリア内外でのATP合成速度に依存して、ミトコンドリア内外でのATPを使い分けている可能性を発見.現在、II型ヘキソキナーゼとミトコンドリアの相互作用の様式を分子レベルで解析中.
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] K.Kogure et al.: "Alteration of Enzyme Function of the Type II Hexokinase C-terminal Half on Replacement of Restricted Regions by Corresponding Regions of Glucokinase" J.Biol.Chem.271. 15230 (1996)
-
[Publications] Y.Shinohara et al.: "Source of ATP for hexokinase-catalyzed glucose phosphorylation in tumor cells:dependence on the rate of oxidative phosphorylation relative to that of extramitochondrial ATP generation" Biochim.Biophys.Acta. (in press).
-
[Publications] H.Terada et al.: "Impotant Role of Loops in the Transport Activity of the Mitochondiral ADP/ATP Carrier" Prog.Colloid Polym.Sci.(in press).