1998 Fiscal Year Annual Research Report
光導波路型非線形素子によるファイバー内ツインビームの発生と評価
Project/Area Number |
08554011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久我 隆弘 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (60195419)
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Keywords | 光ファイバー / 導波路型非線形素子 / 凝似位相密合 / ツインビーム / 量子相関 / 同時計数 |
Research Abstract |
昨年度開発した1.55μm帯の外部共振器型半導体レーザーを用い、導波路型非線形結晶による二倍波発生実験を行った。これは、二倍波発生の逆過程であるバラメトリック下方変換が最大効率になる波長を確認するという意味がある。この結果、現在所有している導波路型非線形結晶は1.510μmで最も効率よく倍波発生を行うことができ、その幅は0.001μmであることが実験的に確かめられた。また、導波路内での二倍波の電場発展を計算機によりシミュレートし、理想的な場合、変換効率は40%/W程度得られること、幅は0.002μmになることがわかった。これは、実験結果の4%/W、0.001μmと多少矛盾するが、導波路の周期構造を完璧には作ることができないので、許容範囲内とも考えられる。 1.55μm帯における高感度検出器として、ゲルマニウム・アバランシェ・フォトダイオードをガイガーモードで使用することを考えていたが、液体窒素温度程度にまで検出器を冷却する必要があり、取り扱いはあまり簡単ではない。したがい、多少、量子効率は劣るが、光電子増倍管で光子計数を行うことに方針を変更した。この結果、研究期間を少し越えてしまうことになるが、その納入を待ってツインビームの光子統計性を測定する予定である。 結果として研究期間内で当初予定した成果を達成することはできなかった。一番の原因は、ある程度予想していたことではあるが、検出器の問題である。当初は量子効率の高い検出器でツインビームの持つ量子的な性質を明らかにする目論見であったが、それには新しい検出器の開発という壁があり、それを乗り越えるには時間が足りなかった。今後は、量子効率は劣るが市販されている光子計数管を用い、ツインビームの二光子相関現象に目標を絞り、研究をまとめる。
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