1998 Fiscal Year Annual Research Report
電力線を覆う空間電荷の雷遮蔽効果と人工誘雷方式による検証
Project/Area Number |
08555069
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Research Institution | NAGOYA INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
中村 光一 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (10024283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 次紀 中央大学, 理工学部, 教授 (90266271)
若松 勝寿 沼津工業高等専門学校, 教授 (40043145)
仲野 〓 豊田工業高等専門学校, 教授 (50023685)
河崎 善一郎 大阪大学, 工学部, 助教授 (60126852)
依田 正之 愛知工業大学, 工学部, 教授 (80103240)
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Keywords | 送電線 / 空間電荷 / 冬季雷 / 遮蔽効果 / ロケット誘雷 / ウォータロケット誘雷 / コロナ放電 |
Research Abstract |
平成10年度冬季ロケット誘雷実験は、準備・撤収を含めて平成10年10月26日から12月5日までの間、石川県奥獅子吼山山頂の北陸電力試験用送電線30号鉄塔付近で実施された。今年度は、鉄塔誘雷6回、地上誘雷10回の計16回の誘雷に成功した。この16回を加えると昭和52年度からの通算成功回数は187回(過去のエアー砲通算2を含まず)となる。本実験では火薬ロケット、火薬を使わないエアー砲、も試みた。主な研究項目は次の通りである。(1)鉄塔誘雷:160m長のナイロン糸でワイヤを絶縁することにより、鉄塔誘雷を目指す。鉄塔側では、碍子間電圧、塔脚電位、鉄塔脚に接続した針付き接地電極への分流、などの測定。(2)地上誘雷:接地されたスチールワイヤを火薬ロケット、エアー砲、ウォータロケットにより引き上げ、地上への誘雷を目指した。限流式避雷針の特性試験、雷エネルギー測定、雷管石の生成。(3)ロケット搭載型電界計による空間電界の測定、(4)雷測定:雷撃電流、地上電界、磁界変化、放電路の光学観測、雷鳴による放電路再現、液晶雷警報器の屋外試験、鉄塔コロナ電流、搭頂電界測定。(5)4km離れたベースでは地電流測定を行った。(6)誘雨ロケットによる誘雨試験も併せて行った。誘雷を目的としたロケットは21回打ち上げて16回成功した。他に、エアーロケットに200m長のロープを取り付け、地上に回収する方式の試験も実験した。結果の一覧を表1に示す。60m鉄塔への誘雷には160m長のナイロン糸を使用した。9回の内6回成功し、1回は山側下相導体に誘雷した。中国式限流避雷針と従来形避雷針を6m置いて並列させ、その上空20mに誘雷を導き、いづれの避雷針に誘雷するかのテストを試みたが、別の場所に誘雷した。ウォータロケットは、飛行高度が不充分で誘雷に到らなかった。 本研究は、平成8年度から、3年間の継続研究であり、3年間の合計誘雷成功数は、36にのぼる。この実験を通して上述の(1)〜(6)に関し、多くの成果が得られた。
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Research Products
(24 results)
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[Publications] Koichi Nakamura 他: "DISCUSSIONS ON FINAL JUMP OF LIGHTNING STRIKES BY ROCKET-TRIGGERED APPROACH" 3rd International Workshop on Physics of Lightning. (1997)
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[Publications] 角 紳一 他: "日本でのロケット誘雷における最終雷撃過程" 大気電気研究. 58. 7-11 (1998)
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[Publications] 角 紳一 他: "正極性雷雲下におけるロケット誘雷初期のリーダ電流と電界変化" 放電高電圧合同研究会資料. ED-98-160 HV-98-104. 53-56 (1998)
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[Publications] 稲葉次紀 他: "北陸冬季20kA級雷放電の電圧特性" 放電高電圧合同研究会資料. ED-98-147 HV-98-91. 93-96 (1998)
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[Publications] 堀井 憲爾 他: "新方式ロケット誘雷実験 ひも付きロケット引き戻し方式の開発" 放電高電圧合同研究会資料. ED-98-157 HV-98-101. 37-39 (1998)
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[Publications] 中村 光一 他: "平成9年度冬季ロケット誘雷実験の成果概要" 放電高電圧合同研究会資料. ED-98-158 HV-98-102. 41-45 (1998)
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[Publications] 佐々木 春生 他: "避雷器へのロケット誘雷に対する考察(その6)" 放電高電圧合同研究会資料. ED-98-159 HV-98-103. 47-52 (1998)
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[Publications] 稲葉 次紀 他: "北陸冬季小電流における放電路電界の逐次近似法による試算" 平成10年電気学会電力・エネルギー部門大会. 154-155 (1998)
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[Publications] 堀井 憲爾 他: "平成9年度冬季ロケット誘雷実験結果の概要" 平成10年電気学会全国大会. 7-7 (1998)
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[Publications] 山下 浩司 他: "誘雷実験における雷放電路のスペクトル撮影" 平成10年電気学会全国大会. 11-11 (1998)
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[Publications] 宮谷 忠司 他: "エアー砲による誘雷実験-1997年-" 平成10年電気学会全国大会. 12-13 (1998)
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[Publications] 水谷 吉隆 他: "冬季ロケット誘雷実験における雷放電路の発光強度時間特性測定" 平成11年電気学会全国大会. (1999)
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[Publications] 山下 浩司 他: "冬季ロケット誘雷実験で実測された正極性および負極性雷電波波形" 平成11年電気学会全国大会. (1999)
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[Publications] 岩尾 徹 他: "1998年度ロケット誘雷実験による雷放電エネルギー測定" 平成11年電気学会全国大会. (1999)
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[Publications] 箕輪 昌幸 他: "平成10年度ロケット誘雷実験における鉄塔近傍の大地電位差測定" 平成11年電気学会全国大会. (1999)
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[Publications] 角 紳一 他: "平成10年度冬季ロケット誘雷実験結果の概要" 平成11年電気学会全国大会. (1999)
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[Publications] 箕輪 昌幸 他: "落雷時の大地電位上昇に関する一測定結果" 平成10年度電気設備学会全国大会. 147-148 (1998)
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[Publications] 山下 賢司 他: "送電線多地点地絡時の二次アークに関する検討" 平成10年度電気関係学会東海支部連合大会. 35. (1998)
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[Publications] 水谷 吉隆 他: "室内における気中放電のスペクトル撮影" 平成10年度電気関係学会東海支部連合大会. (1998)
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[Publications] 山下 浩司 他: "放電電流波形と発光強度時間特性の同時測定" 平成10年度電気関係学会東海支部連合大会. (1998)
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[Publications] 角 紳一 他: "ロケット誘雷実験における負極性リーダ電流と電界変化" 平成10年度電気関係学会東海支部連合大会. (1998)
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[Publications] 山本 賢司 他: "配電線の接地のサージ特性" OHM. 73-77 (1998)
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[Publications] 堀井 憲爾 他: "特性記事II雷害の実態とその対策 2雷撃事故から身を守る" 電気と工事. 51-54 (1998)
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[Publications] 堀井 憲爾 他: "歴史的遺産・文化財における雷害と対策" 電気設備学会誌. 452-454 (1998)