1998 Fiscal Year Annual Research Report
介在物を利用した鉄鋼の相変態組織制御の原理と方法の確立
Project/Area Number |
08555163
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
牧 正志 京都大学, 工学研究科, 教授 (10026247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 利郎 日新製鋼(株), 技術研究所・加工技術研究部, 次長
古原 忠 京都大学, 工学研究科, 助教授 (50221560)
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Keywords | 鉄合金 / 相変態 / 析出 / 結晶学 / 速度論 / 異相界面 |
Research Abstract |
(平成10年度実績報告) <Fe-Mn-C亜共析鋼におけるBl型複合析出物上での粒内フェライト核生成の結晶学> Fe-(1.5-2)Mn-062C-0.3V(mass%)合金のオーステナイト中に分散する非整合MnS+V(C,N)複合析出物上に核生成したフェライトの結晶方位関係を透過型電子顕微鏡を用いたKikuchi回折図形の解析および走査型電子顕微鏡を用いた後方電子線散乱回折図形(EBSP)の解析によって調べた. Fe-2Mn-0.2C合金におけるMnS+V(C,N)複合介在物から核生成した粒内フェライトはV(C,N)に対し低指数面および方向の平行関係をほぼ満たして生成するが,一定の方位関係を満たさない.フェライト/V(C,N)界面の晶癖面も様々である.一方MnS/V(C,N)間にはランダムな結晶方位関係が満たされる.マルテンサイトとオーステナイト間にK-S関係が成立する場合に考えられる23通りのbcc相間の方位差を計算し,Kikuchi線解析によって実験的に求めた複合析出物上のフェライトおよびマルテンサイト間の方位差と比較した.その結果,隣接するマルテンサイト同士の間の方位差はK-S関係のバリアントの組み合わせでほぼ説明できるが,フェライト/マルテンサイト間の方位差の大半はK-S関係では説明できないことがわかった.さらに,複合析出物上フェライトの結晶方位をEBSP解析によって求めた結果,一つのオーステナイトから生成したフェライト同士の方位差は,透過電顕観察結果と同様に,K-S関係からは説明できないことが明らかとなった. 以上の結果より,MnS+V(C,N)複合析出物上に核生成したフェライトはオーステナイト母相に対して特定の結晶方位関係を示さないことが示唆された.
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