1997 Fiscal Year Annual Research Report
安全な輸血製剤の調製:ボルナ病ウイルスに対するスクリーニング法の確立
Project/Area Number |
08557023
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
生田 和良 北海道大学, 免疫科学研究所, 教授 (60127181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 光信 神奈川県衛生研究所, 部長
石原 智明 酪農学園大学, 酪農学部, 教授 (90082172)
関口 定美 北海道赤十字血液センター, 所長
小野 悦郎 北海道大学, 免疫科学研究所, 助教授 (00160903)
岸 雅彦 北海道大学, 免疫科学研究所, 助教授 (90161439)
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Keywords | ボルナ病ウイルス / 精神分裂病 / うつ病 / 抹消血単核球 / 輸血製剤 / ELISA / RT-PCR / zoonosis |
Research Abstract |
一般に、ヒトの精神疾患とウイルス感染症との関連性についてはくから検討されてきた課題であるが、いずれのウイルス感染症についても明確な対応関係が得られていない。本研究課題で取り上げるボルナ病ウイルス(BDV)は、ウマやヒツジに自然感染し、感染した動物の一部に脳脊髄炎を引き起こす原因ウイルスとして分離されたものである。その後、ウマ脳由来BDVを用いた疫学的研究からウシ、ネコ、ダチョウなどにもBDVの感染が広がっていることが明らかにされている。1985年に、ドイツのRottらにより精神疾患患者に高率に抗BDV抗体が検出されることが報告され、BDVとヒト内因性精神疾患との関連性が初めて報告された。私たちは、これまでにわが国のウマ、ヒツジ、ウシ、ネコといった動物にBDVがかなりの割合で不顕性に感染していること、また精神疾患患者、慢性疲労症候群患者において、対照の献血者よりも高率にBDV抗体および末梢血単核球中BDVRNAが検出されることを見いだした。本研究では、安全な輸血用血液の供給を目的として研究を行い、以下の成果を得た。 1)BDVのヒトに対する病原性に関する情報を得るために、精神分裂病患者剖検脳内からのBDV分離を試み、現在ヒトオリゴデンドロサイト細胞への持続感染を成立させた段階である。 2)多検体を定量的に検索する目的でBDV抗原検出用ELISAを開発した。すなわち、BDVp40(ヌクレオプロテイン)とp24(リン酸化蛋白)を検出できる、マウス単クローン抗体とウサギポリクローナル抗体を用いたサンドイッチELISA法を開発した。 3)ヒト献血血液中のBDV感染検出系をRT-PCR法により検討し、10^7以上のPBMCから抽出したRNAを用いることがBDVRNA検出には望ましいことを明らかにした。
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Research Products
(24 results)
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[Publications] Hagiwara,K: "High prevalence of Borna disease virus infection in healthy sheep in Japan." Ciln.Diagn.Lab Immunol. 4. 339-344 (1997)
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[Publications] Fujjwara,S.: "Microplate hybridization for Borna disease virus RNA in human peripheral blood mononuclear cells." Ciln.Diagn.Lab.Immunol.4. 387-391 (1997)
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[Publications] Takahashi,H.: "Higher prevalence of Borna disease virus infection in blood donors living near thoroughbred horse farms." J.Med.Virol.52. 330-335 (1997)
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[Publications] Shoya,Y.: "Amplification of a full-length Borna disease virus(BDV)cDNA from total RNA of cells persistently infected with BDV." Microbiol.Immunol.41. 481-486 (1997)
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[Publications] Hagiwara,K.: "Demonstration of Borna disease virus(BDV)in specific regions of the brain from horses positive for serum antibodies to BDV but negative for BDV RNA in the blood and internal organs." Med,Microbiol.Immunol.186. 19-24 (1997)
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[Publications] Iwahashi,K.: "Clinical investigation of the relationship between Borna disease virus(BDV)infection and schizophrenia in 67 patients in Japan." Acta Psychiatr.Scand.96. 412-415 (1997)
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[Publications] Haga,S.: "Detection of Borna disease virus genome in normal human brain tissue." Brain Res.770. 307-309 (1997)
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[Publications] Kobayashi,T.: "Nuclear targeting activity associated with the'amino terminal region of the Borna" Virology. (in press).
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[Publications] Iwahashi,K.: "Positive and negative syndromes,and Borna disease virus(BDV)infection in schizophrenia." Neuropsychobiology. (in press).
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[Publications] 岩橋和彦, 他: "精神分裂病におけるボルナ病ウイルス(BDV)感染と PANSSを用いた精神分裂病症状評価" 臨床医学. 26. 261-266 (1997)
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[Publications] 岩橋和彦, 他: "ボルナ病ウイルス感染と精神分裂病" 精神医学. 39. 1275-1279 (1997)
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[Publications] 中村百合恵, 他: "ウマ、ウシ、ヒツジ、ネコ、およびヒトにおけるボルナ病ウイルス感染状況" 獣医畜産新報 JVM. 50・3. 193-196 (1997)
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[Publications] 生田和良: "ボルナ病ウイルスの人への関与の可能性" ウイルス. 47・1. 37-47 (1997)
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[Publications] 生田和良: "ボルナ病ウイルス研究の最新動向" 医学のあゆみ. 181・8. 533-537 (1997)
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[Publications] 生田和良: "ホルナ病ウイルスと精神疾患" 日本医師会雑誌. 117・11. 1884- (1997)
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[Publications] 生田和良: "ホルナ病" 小児科「小児疾患診療のための病態生理」. 29. 914-916 (1997)
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[Publications] 生田和良: "ボルナ病ウイルス" BIO Clinica. 12・11. 60-64 (1997)
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[Publications] 生田和良: "ボルナ病ウイルス" 病原ウイルス学(加藤四郎,岸田綱太郎 編). 465-471 (1997)
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[Publications] 生田和良: "ボルナ病ウイルス -ヒト患者における疫学研究の現況-" 小児の臨床ウイルス(浅野善造 編). 60・11. 53-59 (1997)
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[Publications] 中屋隆明他: "ボルナ病ウイルス(BDV)と慢性疲労症候群(CFS) -抗BDV抗体とBDV・RNAの検出-" 日本臨床「総説シリーズ-現代医学の焦点-」. 55・11. 264-271 (1997)
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[Publications] 生田和良: "ヒトと動物におけるボルナ病ウイルス感染状況" 実験医学. 15・19. 219-223 (1997)
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[Publications] 生田和良: "北アメリカとヨーロッパの精神分裂病および双極障害患者の脳内に存在するボルナ病ウイルス" Medical Briefs in Herpes Virus Infection「ウイルス脳炎・脳症特集号」. 10・5. 8-9 (1997)
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[Publications] 生田和良: "ボルナ病" 人と動物の共通感染症(丸山務、倉田毅、森田千春 編). (印刷中).
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[Publications] 生田和良: "ボルナ病ウイルス" 医学のあゆみ(新興再興感染症). (印刷中).