1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08559002
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
田中 朝雄 東海大学, 医学部, 助手 (50192175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 博 (株)日本ハム, 中央研究所, 研究員
三井 洋司 通商産業省工業技術院, 生命工学工業技術研究所, 首席研究官
田中 真奈実 通商産業省工業技術院, 生命工学工業技術研究所, 主任研究官
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Keywords | 異種生物間情報伝達 / Bradeion / オーファン受容体 / アポトーシス / アンチセンス・リボザイム / 癌関連遺伝子 / 遺伝子診断 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
昨年度までに異種生物間情報伝達物質をコードする遺伝子を検索、発見、配列決定し、Bradeionと命名(SLOW TIMEの意、遺伝子の特許登録済み、2種存在し、αとβと命名)した。Bradeionのアミノ酸配列の分析により、成長ホルモンおよびサイトカイン・レセプター特異的配列が認められ、膜貫通部分、ATP/GTPbinding sileも含めてオーファン受容体としての特徴的配列を有していた。今年度は、1. Bradeion蛋白質の機能解析のため、遺伝子を細胞内導入し、蛍光物質Green Fluorescen Proteinとの融合蛋白質を産生させ、共焦点レーザー蛍光顕微鏡による経時的観察により、(1) Bradeion αはミトコンドリアに局在、(2)Bradeionβは細胞質内に分泌、(3)さらに培養ヒト癌細胞に過剰発現させると、アポトーシスを誘導することが判明した。 2. His tagを用いた融合蛋白質をBaculovirusで作成し、Bradeion蛋白質を単離し、それに対する抗体を作成した。現在、その抗体を用いて細胞およびマウスへの影響を検索中である。 3. これらの遺伝子のノックアウト・マウス作成も最終段階に入っている。その途中経過として、この遺伝子は、(1)マウスでは第11番染色体に局在、(2)3エクソン、2イントロンの構成、(3)約17kb領域にコードされていることが判明した。 4. 1.(3)の結果を踏まえて、癌細胞でのBradeionの発現を確認したところ、(1)ヒト培養大腸癌・メラノーマ細胞株において強度遺伝子発現を示し、(2)大腸癌のヒト患者検体においてもこの強度発現は確認された。肺癌、胃癌等他癌組織ではこの様な現象は起こらないことが判明した。したがって、Bradeionはこれらの癌の診断マーカーとなり得ることが推測され、さらなる症例を増やし検討中であり、大腸癌の前癌状態の腺腫、異形成についても発現の有無を確認している。 5. アンチセンス・リボザイムにより大腸癌細胞でBradeionの発現を抑制すると、(1)細胞増殖速度に顕著な影響が現れ、増殖抑制及び癌細胞の形質転換が起こる。(2)完全な発現抑制では、細胞分裂異常により細胞増殖が不可能となる。これは癌の遺伝子治療への発展を期待され、さらなる研究が展開されている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tanaka M: "The Triplet Repcat(Alanine;GCT)in Ribosomal Protein L14 of Immortalized Human Endothelial Cell Line(t-HUEA)." Biochemical and Biophysical Research Communications. (in press). (1998)
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[Publications] Tanaka T: "The Cloning and Sequencing of Ribosomal Protein S18 of Parasitic Protozoa,Entamoeba histolytica" DNA Sequence. (in press). (1998)