1998 Fiscal Year Annual Research Report
生体適合性を持つ磁気発熱材料の開発とがんの温熱療法への応用
Project/Area Number |
08559007
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松井 正顯 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (90013531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 正晶 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (10237167)
藤内 祝 名古屋大学, 医学部, 講師 (50172127)
浅野 秀文 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (50262853)
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Keywords | 温熱療法 / 生体適合性 / がんの温熱療法 / 磁気発熱材料 / ヒステレシス損 / マグネシウムフェライト / 超微粉末 / 超薄膜 |
Research Abstract |
生体適合性を持つ磁気発熱材料の開発と小動物実験に関して、本年度は以下のような結果を得た。 1. パルク焼結体として、MgFe_2O_4にZrまたはTiを添加したMg_<1+x>Fe_<2-2x>Zr_xO_4(X=0.1〜0.5)とMg_<1+x>Fe_<2-2x>Ti_xO_4(x=0.1〜0.5)、を作製し、磁気ヒステレシス曲線、発熱量、Tcを測定したところ、Ti添加系でx=0.5においてTc=100℃の低い材料が得られた。発熱量はx-0の約半分程度で小さいが、このようなTcの低い材料は今までに無くかなり有望であると考えられる。 2. Fe_3O_4超微粒子を作製しキューリー温度(Tc)を求めた。しかし5nm以下の粒子は得られなかった。 3. MgFe_2O_4の微粉末を化学的手法で作製した。残留有機溶媒を500℃で焼き、20〜29nmの直径のMgFe_2O_4が得られた。しかしTcはバルクとほぼ同じで380℃であった。5nm程度の微粒子を得るためには、残留有機溶媒を溶融してMgFe_2O_4を得る手法を開発する必要があると考えられる。 4. 薄膜インプラント材料として、超薄膜人工格子のFe/Au系とFe/Al系を作製し、Tcと発熱量を測定した。Fe/Au系はFe層の厚さが2〜3ML程度ではTcが400℃まで低下したが、発熱には至らなかった。Fe/Al系は金属間化合物が形成された。 5. 温熱療法への応用のために臨床学的基礎実験を行った。バルクのMgFe_2O_4の微粉末を用いて、小動物(ラット、ヌードマウス)を使用して実験を行い、肝臓、腎臓などの内蔵または後背部皮膚に移植したがん組織に粉末を直接塗布して温熱効果を測定し充分な温度上昇があることが分かった。 6. 開発した材料と温熱療法への応用に関して、バルクではTi系が有効であり、微粉末では化学的手法による作製法が有望であることが分かった。また、臨床基礎実験では塗布法が有効であることが分かった。
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Research Products
(16 results)
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[Publications] 早川純: "La_<n-nx>Ca_<1+nx>Mn_nO_<3n+1>薄膜の磁気的・電気的性質" 日本応用磁気学会誌. 22 4. 401-404 (1998)
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[Publications] 土井正晶: "[bcc-Fe(M)/Cu](M=Co,Ni)多層膜の磁気抵抗効果とその熱処理効果" 日本応用磁気学会誌. 22 4. 541-544 (1998)
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[Publications] 李昌昊: "強磁性トンネル接合Fe/CeO_2/Fe-Coの磁気抵抗効果とXPS観察" 日本応用磁気学会誌. 22 4. 553-556 (1998)
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[Publications] 杉本浩一: "[Co/Cr]エピタキシャル多層膜の磁気特性" 日本応用磁気学会誌. 22 4. 589-592 (1998)
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[Publications] 山田保誠: "Co/γ-Fe/Co 3層膜の磁気抵抗効果" 日本応用磁気学会誌. 22 4. 609-612 (1998)
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[Publications] H.Ofuchi: "Local structures around Fe atoms and magnetic properties of[fcc-Fe/Cu]multilayer" Applied Surface Science. 130-132. 899-903 (1998)
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[Publications] Hidefumi Asano: "Magnetotransport in perovskite series La_<n-nx>Ca_<1+nx>Mn_nO_<3n+1> ferromagnetics" Physical Review B. 57 2. 1052-1056 (1998)
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[Publications] Hidefumi Asano: "Magnetotransport in thin films of La_<n-nx>Ca_<1+nx>Mn_nO_<3n+1>(n=2,3 and ∞)" Mat.Res.Soc.Symp.Proc.494. 131-136 (1998)
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[Publications] Masashi Arita: "Microstructure of Fe/Cu(Au)artificial superlattice" Thin Solid Films. 318. 180-185 (1998)
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[Publications] I Tohnai: "Preoperative thermochemocherapy of oral cancer using magnetic induction hyperthermia(Implant Heating System:IHS)" Hyperthermic Oncology in Japan '97. 10-12 (1998)
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[Publications] 藤内祝: "頭頸部悪性腫瘍進展例に対する温熱療法を併用下放射線化学療法" 日本頭頸部腫瘍学会誌. (1998)
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[Publications] Jun Hayakawa: "Strain Effect of La_<1-x>Ca_xMnO_3 Thin Films" Journal of Magnetic Society of Japan. 23. 102-104 (1999)
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[Publications] Yasusei Yamada: "Magnetic Critical Behavior of γ-Fe/Cu Multilayers" Journal of Magnetic Society of Japan. 23. 575-577 (1998)
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[Publications] Jun Hayakawa: "Strain Effect of La Ca Mn O Thin Films" Journal of Magnetic Society of Japan. 23(印刷中). (1998)
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[Publications] C-H.Lee: "Structural Study of the Interfaces of Fe(Co)/A10_x/Fe Ferro-magnetic Tunnel Junctions" Journal of Magnetic Society of Japan. 23(印刷中). (1998)
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[Publications] 〓山沙徳克: "[α-Fe/Au]及び[γ-Fe/Cu]エピタキシャル人工格子の磁気相転移" 日本応用磁気学会誌. 23(印刷中). (1998)